ハワイ島コナにオープンしたハワイで初めてのハワイアンキルト博物館
先月の続きのハワイ島の旅を掲載しようと思ったのですが、最新ニュースがありますので、今月はそちらをご紹介しますね。
久しぶりにコナの街に行って来ました。今年6月にオープンしたばかりで、ハワイでは初めてのキルトミュージアムになります。キルトの材料や生地を売っているショップのオーナーが色々と手を尽くし、2年かけて作られたミュージアムです。ハワイアンキルトはハワイの伝統工芸ですが、伝統的なのハワイアンキルト(注*伝統的というのは、ハワイ以外で販売を目的に作られたキルトではないということ)のミュージアムは今までどこにも誕生していませんでした。ハワイなのに、伝統的なハワイアンキルトの展示が少ない中、私たちキルターにとってはとても嬉しいことです。
こちらのミュージアムのミッションはヴィンテージのハワイアンキルトの展示、ハワイの伝統工芸であるハワイアンキルト、そしてコンテンポラリースタイルのキルトなどを展示すること。またドーセント(ガイド)の説明などで、ハワイアンキルトの手法や伝統などを伝えること。またハワイアンキルトの伝統を継続し次の時代につなげていくことなどを掲げています。ハワイの伝統文化の一つなのに、ハワイでのハワイアンキルト人口は年々減少ぎみです。オアフ島よりもカウアイ島、マウイ島、ハワイ島でのキルト活動は多いかと思います。ハワイアンキルトはその昔、隠されたアートでもありました。しかし隠されたままでいると、この伝統文化はなくなってしまいます。少しでも次世代にハワイの重要な伝統文化を伝える手段が増えると素晴らしいと思います。
別の場所にあったキルト・パッションというキルトショップが移動しました。コナの街の中にありますが、ここのオーナーがキルトミュージアムをやっています。まずはこのお店に行き、ミュージアムが見たいと伝えてください。ドーセントがいない場合は、オーナーのカレンさんが案内をしてくださいます(英語オンリーですが)。
入り口では$5の入場料(寄付のようなものです)を払います。
まず入ってすぐに私がワイメアのキルトクラブで一緒にキルトをしていたリックさんの黒いキルトが展示してあります。素敵なリリウオカラニ女王と音楽をテーマにした素敵な作品です。
そしてまずはハワイに生地が入るまえから使われていたカパのビデオや説明などをしてくれます。
次にヴィンテージのハワイアンキルトが3枚展示されています。
フラッグキルトは1920年頃に作られたキルトで、作者、デザイナーは不明です。ピーシングにはミシンも使われていますが、キルティングはハンドキルティングです。王冠の周りは刺繍糸のようなものでクロスステッチが施されています。そして中心のキルティングはエコーイングキルト(輪郭)ではなく、ひし形のキルティングがされています。
ヴィンテージキルトのいくつかはいつも同じ作品の展示とは限りませんので、ご了承くださいとのことでした。
赤いパイナップルのキルトは1900年代初頭にテレサ・クィンさんによって作られたキルトです。すべて手縫いのキルトはお孫さんの代に伝わったものです。パイナップルのアップリケの部分、そしてまわりのキルティングもすべてエコーイングキルトで埋められています。白地に赤地で作られたキルトは全体にエコーイングキルトが施され、とても伝統的なハワイアンキルトです。
そして白とブルーのキルトもテレサ・クィンさんの作品ので、100%手縫いの伝統的なハワイアンキルトです。パイナップルのキルトとともに、お孫さんによりこのミュージアムに寄付されたものです。貴重なヴィンテージキルトを直に見ることができるのは嬉しいですね。
中にはとてもユニークな作りかけキルトの展示があります。レナおばあちゃんの作りかけキルトと呼ばれていますが、学校の先生であったレナさんがアメリカ本土からハワイに赴任し、結婚し、家族を作り、このハワイアンキルトをデザインしカットし、アップリケを始めたのが1900年頃。そのあとアメリカ本国に戻ったのが1911年。ハワイに滞在中に始められたこの作りかけキルトは、100年以上の時を経て、お孫さんに発見されました。シミがほぼなく、このような状態で発見されたのは奇跡ですね。そんな記念の作りかけキルトをお孫さんが寄付し展示されています。家族のために作ろうとしていたこのキルトはパイナップルのようなデザインがされています。ハワイの思い出を刻んだもので、アップリケを始めたけど、忙しくそのまましまわれていたのだろうと思われます。こんな100年以上も昔の人の未完の作品から、当時の想いが伝わります。
他にはハワイアンキルトの基本的な作り方などの展示もあり、子供達が塗り絵からハワイアンキルトを楽しめるコーナーもあります。隣のキルトパッションではハワイアンキルトのレッスンなども開催されています。ハワイアンキルトの伝統を次世代に伝えていきたいという趣旨もよくわかります。
その他はギャラリーになっているので、キルトの販売品なども展示してあります。伝統的な本物のハワイアンキルトを購入されたい方にも素敵な場所になっています。日本からのキルトグループの作品も飾ってあります。展示品は流動的なのでいつも同じというわけではないので、何回でも足を運びたくなりますね。
実は先日も私はハワイ島に行く機会があり、2回もお邪魔しています。ハワイ島でゆっくりとした時間の流れとともに楽しむことができるスポットがまた一つ増えました。
ハワイ島に住んでいた時には、キルトショップがいくつもあり、楽しみの一つでした。ホノルルは残念なことにあまりこのようなショップがないのですが、ハワイ島ではより多くの人がキルトを楽しんでいるように思えます。
私の木曜日のキルトグループ、アヌエヌエキルターズの皆さんにも会って来ました!皆さんとてもお元気そうでした。キルトを相変わらずガンガンに作っています。来年1月には私と一緒に3名が東京国際キルトフェスティバルに行かれます。今からものすごく楽しみです!
By アン
Kona Hawaiian Quilt Museum & Gallery
75-5706 Kuakini Hwy Ste 112
Kailua Kona Hawaii 96740
Tel: 808-331-2958
Website: https://www.konahqm.org/
営業時間:月曜日から金曜日 10時から17時、土曜日 10時から16時
休み:日曜日
入場:$5
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筆者プロフィール
- アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。
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