皆様、最終回のアローハ!

2003年10月から始めさせていただきましたキルトパラダイスも今月で最後になってしまいました。22年もの間、キルトパラダイスを読んでいただきまして、本当にありがとうございました。毎月毎月ハワイアンキルトにまつわるお話をさせていただきました。私の人生の中で長かったようで短かったような、色々なことがあった22年間でした。今日はその軌跡をたどってみようと思います。

私がこのキルトパラダイスを書き始めるきっかけは、以前から交流のあったポリネシア文化、考古学での第一人者の篠遠善彦先生に紹介していただいた近藤純夫さんとの出会いになります。近藤さんからこちらの寄稿に誘っていただき本当にありがたかったです。私のキルトパラダイスでは近藤さんの著書のこと、一緒にハイキングに連れて行っていただいたこと、私の生徒さんたちとの交流会などなど、本当に近藤さんにはお世話になっております。スパ・リゾートハワイアンズでのキルト展もやらせていただきました。振り返ってみると、近藤さんとは良くお仕事をさせていただきました。コロナの前は日本やハワイでお会いすることも多かったのですが、最近では直接お会いすることも少なくなってしまい寂しい限りです。

2014年、篠遠善彦先生と

2014年、篠遠善彦先生と

2011年近藤純夫さんの植物講義

2011年近藤純夫さんの植物講義

2013年、近藤純夫さんと新宿御苑での植物ツアー

2013年、近藤純夫さんと新宿御苑での植物ツアー

2014年、近藤純夫さんのとキルターとの交流会

2014年、近藤純夫さんのとキルターとの交流会

第一回のキルトパラダイスではなぜ、私がなぜハワイに住み続けているのかということを語っていますが、22年経った今でも全く変わりありません。コロナの期間で変わってしまったものもありましたが、基本的にはどこに旅行に行ったとしても、ハワイに戻ると「あー家に帰った」と毎回言ってしまうということでしょうか。あとは人と人との距離感がとても心地いいのかもしれないですね。完全に日本での生活期間より、ハワイでの生活期間が長くなっています。昨年母を亡くしたことも要因にはなっているのかもしれませんが、ハワイが永住の地というのがこれから先の展望になっていることは確かかもしれません。

22年前に比べるとハワイは気温が上昇し、気持ちの良い貿易風は少なくなったように思えます。温暖化が進んだとは思いますが、エアコンなしでの生活はかなり難しくなったと思われます。よって夏の期間は大きなベッドカバーの制作が困難になってきています。体力も30代に比べると落ちた?しかも目も悪くなった?という色々理由があるのですが、ハワイアンキルとの制作期間は前よりは長くなっていますね。これは仕方ないことで、年齢と上手に付き合っていくしかないですね。

ハワイから学んだことは、色々な人種、宗教、食べ物、考え方にフレキシブルでないといけないということですか。アメリカにいるということはこのすべてを受け入れた上で、自分のアイデンティティーを持って生きるということが前提になります。その部分で私はきっとアメリカやハワイの地に適していたのではないかと思います。あまり細かいこと気にせず、周りの人と上手にやっていくというのが楽に生活をする方法だと思います。あとは親戚や家族がいないので、自分の家族を作るか、友達と家族のような付き合いを長く続けるということが日本を離れて外国にいる私たちの生き方なのかと思います。

キルトパラダイスを通して、日本でのキルトレッスンをさせていただいたり、キルトツアーを催行していただいたりと、イベントもやっていただきました。それに来てくださった生徒さんとは今でも交流があります。この22年の間、ワイキキでのショップのオープンもありました。そして日本でのキルトレッスンも2006年から定期的に開催しています。ホノルルフェスティバルには2006年から毎年のようにハワイアンキルトの出展をさせていただいております。2017年2月、2023年11月と横浜みなとみらいでの単独キルト展、そして今年3月は広島チームによりハワイアンキルト展など、このキルトパラダイスを書かせていただいてから、私たちのハワイアンキルトはどんどんと広がっていきました。その間、本も出版させていただきました。これからもハワイアンキルトの伝統をもっともっと広く日本の方々に知っていただければと思っています。

2005年、パシフィックリゾート本社にてのキルトレッスン

2005年、パシフィックリゾート本社にてのキルトレッスン

2008年のキルトツアー

2008年のキルトツアー

ハワイは私の人生の全てを教えてくれた場所だと思っています。そしてハワイの伝統の素晴らしさももちろん教えてくれています。2013年からはイオラニ宮殿のドーセントも務めさせていただいていますので、これも止まることなく、続いていきたいと思っております。

2019年イオラニ宮殿で

2019年イオラニ宮殿で

ハワイは多少変わったことがあるかもしれませんが、基本は何も変わっていません。そういう変わらないところがハワイですし、私はそれが大好きですね。新しいテクノロジーで世界がどんどん変わっていくかもしれないですが、ハワイはその波に急いで乗ることもなく、ハワイのペースでゆっくりと世の中について行っているような気がします。そういう誰にもあまり影響されないハワイというのが私は大好きですし、ハワイにずっと住み続ける理由になっているのかもしれません。

本当に長い間、私のコラムを読んでいただきありがとうございました。読者の皆様とともに人生を歩み、これからもこのハワイでゆっくりと生きていきたいと思っております。ハワイアンキルトをどうか止めることなく、自分のペースで楽しんでいただくことが私の切なる長いです。

そして変わらないハワイに是非いらしてください。お待ちしております。

小塚さんを始め、このサイトを長年運営してくださったパシフィックリゾートのスタッフの皆様、ありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。

大好きなハワイの夕日

大好きなハワイの夕日

アン

筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。