毎年12月末に開催されるカピオラニ王妃のナイトツアー

皆さま、2018年の幕開けです。
1834年12月31日はハワイ王国第7代、カラカウア王の妃であったカピオラニ王妃の誕生日です。2017年は183回目のお誕生日となりました。毎年イオラニ宮殿では、カピオラニ王妃の誕生を祝い、年一度の夜のツアーを開催します。唯一、夜のイオラニ宮殿のツアーに参加できるということもり、毎年多くの人で賑わいます。今日はこちらのツアーについてご紹介しましょう。

夜のイオラニ宮殿

夜のイオラニ宮殿

毎年10月以降、夜のイオラニ宮殿ツアー開催の告知が出されます。年に1日の時もありましたが、需要が多いため、2日間となり、去年は3日間の開催となりました。私たちボランティアは総出でお手伝いをします。嬉しいことに毎年このツアーについての関心が高まり、多くの方々が宮殿を訪れています。

ここで少しカピオラニ王妃のご紹介をしておきましょう。
本名はジュリア・カピオラニ・ナーペラ - カプ・オ・カーカアエといい、ハワイ島ヒロにて、父は高位酋長クーヒオ、母はカウアイ島の最後の王カウムアリイの娘、キノイキとの間に生まれました。カメハメハ3世の世、カピオラニ王妃は10代の頃にホノルルへ移り住みました。
その後17歳で最初の結婚をしますが、かなり年齢差のあった結婚だったので、24歳の若さで未亡人になってしました。
28歳の時、後にハワイ王国第7代国王になったカラカウア王と結婚をしますが、時勢はカメハメハ4世のアルバート王子の亡くなり、1年後にカメハメハ4世も亡くなったこともあり王国は喪中でした。よって二人の結婚式は静かに行われたと言われています。王妃はカラカウア王の2歳年上でした。
カピオラニ王妃が39歳の時、カラカウア王が選挙によりハワイ王国の第7代王となりました。
王妃としての最初の公務は、カピオラニ王妃の個人的なミッションでもあったハンセン氏病の人たちへの寄付金集め、のちに多くの寄付金が集まり、ハンセン氏病患者へ貢献しました。
そして王妃のもう一つの願いであった、ハワイアンという人種を守っていくことでした。ハワイのすべての母親達が安心して子供を産めるような施設、カピオラニ産院が1890年に開設されています。今でもカピオラニ・メディカル・センター・フォー・ウーマンズ・アンド・チルドレンズとし、たくさんのハワイの子供達が生まれ、ホノルル唯一子供専用の最新機器、かつ最新技術を持つ病院として機能しています。アメリカ合衆国前大統領、バラク・オバマ氏もこの病院で産まれています。

カピオラニ王妃

カピオラニ王妃

さて、夜のツアーですが、2016年4月に複製プロジェクトの4枚目として作られたカピオラニ王妃の孔雀のドレスを覚えていらっしゃいますか?私が2017年8月投稿の「王家のドレス」に詳しく記しています(https://www.pacificresorts.co.jp/kawaraban/quilt/royal_dresses/)、素敵なアズーア色(青または群青色のような濃い青色)のドレスです。こちらをカピオラニ王妃と同じ体型の女性(デビーさん)モデルが着て、お客さまを迎えました。このドレスは15キロほどの重さがあるそうです。ドレスとさらにその下のコルセットがかなり重いと直接王妃モデルから聞きました。彼女は夜のツアー5時30分から9時までの約5時間、立ちっぱなしの3日間でした。本当にお疲れ様です。トイレにも行けないので、朝からずっと飲まず食わずでのお勤めでした。おかげで直接、ドレスの重さのことや、トレイの大変さ、またトレーンの羽の詳細を聞いたり、見たりすることができました。せっかくの夜のお手伝い、集められる情報はすべて集めてました。
約4,000羽の孔雀の羽はどこに使われているのかという疑問がありましたが、よくわかりました。トレーンの部分もドレスのフロントの部分も、孔雀の羽の目の部分は目立ちますが、その下の青い部分がすべて羽でできているのです。孔雀の広げた時の羽は特徴的ですが、孔雀の体を覆っているのが、濃い青色の羽なのですね。ドレス製作に時間がかかるのもよくわかりました。
カピオラニ王妃がイギリス王国、ヴィクトリア女王式典のために作り、持って行ったドレスはさすがにロイヤルドレスでした。
私たちスタッフも皆、ブラックアタイアーとなり、黒のスーツとドレスに身を包みます。私はブラックのドレスは初めてなので(前は白のムームーでした)、この日のために製作しました。

カピオラニ王妃のモデルさんと私

カピオラニ王妃のモデルさんと私

孔雀のドレスのトレーン部分

孔雀のドレスのトレーン部分

孔雀のドレスのトレーン部分のクロースアップ

孔雀のドレスのトレーン部分のクロースアップ

夜のツアーでは年に一度、フロントドアから入ることができる貴重な演出もあります。またコアの大階段で2階へ移動するのも年に一度のことです。小学生の時に遠足でイオラニ宮殿を訪れて以来のお客様、生まれて初めてコアの大階段で2階に移動されたお客様、それぞれ色々な思いを巡らせてツアーに参加されていました。通常のツアーは裏のドアから出入りし、2階への移動は1970年代に作られたエレベーターでの移動なので、これだけでも貴重な体験ができます。また、夜のイオラニ宮殿は幻想的で、昔にタイムスリップしたような感覚になります。
通常のツアーとは違い、一人のドーセントが皆さまを各部屋に案内するのではなく、各部屋にドーセントがいて、短い説明をします。そしてお客様が移動し、また次の部屋でドーセントの説明を聞いたり、ピアノの生演奏でのオペラを聞いたり、フラを見たりと盛りだくさんの内容となっています。
1階の大広間ではイオラニ宮殿の概要が説明されます。そして青の間ではピアノの生演奏にオペラを聞くことができます。この時点ですでに3回くらい鳥肌が立っています(笑)。そしてそのままダイニングを通り、王座の間に移動します。王座の間ではいくつかのフラハラオがパフォーマンスをしています。

1階の大広間でイオラニ宮殿の概要を聞きます

1階の大広間でイオラニ宮殿の概要を聞きます

青の間ではピアノの生演奏とオペラを聞きます

青の間ではピアノの生演奏とオペラを聞きます

王座の間ではフラのパフォーマンスを見れます

王座の間ではフラのパフォーマンスを見れます

そのあとはコアの大階段で2階に移動します。まずはカピオラニ王妃の寝室。レイフルドレスもあり、うっとりしてしまいます。カピオラニ王妃の功績などの説明を聞きます。そして幽閉の間に移動します。ここではチャンターが二人。物語をチャントで伝えます。そのあとは音楽室、王の執務室そして王のベッドルームと進みます。そしてエレベーターで地下に移動し、ツアーは終了となります。約1時間ほどのナイトツアーですが、時空を超えて、素晴らしい体験ができるツアーです。今年の年末も開催されるので、機会があれば是非参加してください。詳しい日程などはイオラニ宮殿のオフィシャルサイトにて、10月くらいにアップされる予定です。

コアの大階段で2階に上がります

コアの大階段で2階に上がります

カピオラニ王妃の寝室にはレイフルドレスもありました

カピオラニ王妃の寝室にはレイフルドレスもありました

幽閉の間にはチャンターが演出しました

幽閉の間ではチャンターが演出しました

音楽室

音楽室

王の執務室

王の執務室

最後にイオラニ宮殿のガラスのドアにデザインされている花と花瓶。これを元にハワイアンキルトが作られ、ホノルル美術館のキルトコレクションに保管されています。このキルトはホノルル美術館でも過去に展示はされていません。私は偶然にも10月に日本で開催された茅ケ崎美術館の特別展示で見ることができました。ピカ・プア・オ・ハレ・アリイと呼ばれるハワイアンキルトのもとのデザインは、イオラニ宮殿のドアにエッチングされたデザインから来たものです。このキルトは1920年代に作られたものですが、作者は不明です。またキルト芯には羊毛芯が使われています。当時は羊毛がハワイでは盛んな産業の一つでした。このドアの花瓶は昼間の宮殿では反射してなかなか写真が綺麗に撮れませんが、夜のガラスは綺麗に撮ることができました。

2018年も皆さまにとって、素敵な1年になりますように。

イオラニ宮殿ドアの花瓶の写真

イオラニ宮殿ドアの花瓶

ホノルル美術館コレクションのピカ・プア・オ・ハレ・アリイ:Pika Pua O Hale Alii (Flower Vases of the King’s Palace) is from Honolulu Museum of Art Collections)

ホノルル美術館コレクションのピカ・プア・オ・ハレ・アリイ:Pika Pua O Hale Alii (Flower Vases of the King’s Palace)  from Honolulu Museum of Art Collections

By アン

イオラニ宮殿の公式サイト
http://www.iolanipalace.org

☆電子ブックが発売!
https://www.amazon.co.jp/dp/B0721195V5/ref=zg_bs_2292799051_f_9?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=WZSDX1N0A2Y4W80K1H3D

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筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。