アローハ!

日本は暑い暑い夏が終わり、秋の気配も感じられる季節になりましたか? ハワイはまだまだ暑いと思っているのですが、朝夕は涼しくなってきたと感じる方もいるようです。さて、みなさまもご存知の通り、ハワイ主要8島にはそれぞれ花と色があります。今日はマウイ島の花であるロケラニローズについてお話しさせていただきますね。

ロケラニローズのウォールハンギングappliqued and quilted by Hiroko Tsushima

ロケラニローズのウォールハンギングappliqued and quilted by Hiroko Tsushima

 

マウイ島はハワイ諸島では2番目に大きな島です。マウイ島のラハイナの町は一時期、ハワイ王国の首都で政治の中心でした。そして捕鯨産業が盛んな場所でもありました。ハレアカラの雄大な景色、秘境の地ハナ、大きなリゾートエリアなど、オールドマウイとニューマウイ、どちらも楽しめる島となっています。冬になるとザトウクジラのメッカとなるのも有名です。島の花は、かつてのハワイ王国の首都があったので、その気高さを感じる濃いピンクのロケラニローズ、マウイローズとも呼ばれていました。そこから島の色はそのロケラニローズの色のピンクとなりました。

私は最初にクッションサイズのデザインから始めました。八重の花びらをくり抜いたアップリケは難度の高いデザインになってしまいましたが、私のデザインの中でも大好きなものになりました。私のハワイアンキルトの始まりは、マウイ島のハナという場所にあるハナのホテルだったこともあり、ハワイアンキルトに出会えた気持ちを込めてデザインしました。

ロケラニローズのクッション

ロケラニローズのクッション

 

「天国のバラ」という意味を持つ濃いピンク色のロケラニ・ローズは、マウイ島の花に指定されています。香りがとてもよい八重のバラで、英名ではダマスク・ローズと呼ばれています。ハワイに持ち込まれたときには、マウイ島のラハイナのガーデンで多く栽培されていたため、「マウイ・ローズ」と呼ばれていました。(ラハイナは1820年前後から1845年までハワイ王国の首都でしたが、後にホノルルに移りました)八重の花びらは多くなると50枚になるものもあります。

ロケラニローズ

ロケラニローズ

 

ベッドカバーは2m角の大きな作品です。大きなベッドカバーには、ふんだんに華やかなロケラニローズを使いました。幸せ色であるピンクは作業中も常に幸せな気分にさせてくれます。ベッドカバーの完成には約40,000針のステッチが入り、1年以上の時間を費やします。ステッチを入れるキルティングは気の遠くなるような作業ですが、大好きなデザインや色を選ぶと一針一針が楽しくなります。1年以上かかるベッドカバーの製作期間、心のアップダウンがありますが、完成した作品を見ると、その間の色々な思い出が蘇ります。

ロケラニローズだけをデザインの取り入れたベッドカバーの他に、どうしてもパールを取り込んだロケラニローズのデザインが作りたくなり、もう1枚デザインしました。ロケラニローズの色であるフューシャ(濃いピンク)を使われる方が多く、たくさんのロケラニローズの作品が完成しています。

ロケラニローズのベッドカバー Appliqued and quilted by Hiroko Tsushima

ロケラニローズのベッドカバー Appliqued and quilted by Hiroko Tsushima

 

ロケラニローズ&パールのベッドカバー Appliqued and quilted by Noriko Ogasawara

ロケラニローズ&パールのベッドカバー Appliqued and quilted by Noriko Ogasawara

 

同じロケラニローズのモチーフでも、正方形と長方形の形によって違うデザインになります。ベビーキルトの大きさですが、ソファーの背もたれにかけたり、ベッドランナーの代わりに使えたりもする便利な長方形のキルトです。そしてクッションやウォールハンギングよりも少し大きな作品を作れたという満足度も得られるサイズです。私はこのサイズが大好きで今までもたくさん作ってきましたが、このロケラニローズのベビーキルトは2020年のお家時間の際に作った思い出深い作品です。下地には薄いピンクでも白でもない、薄いグレーを使いました。

ロケラニローズのベビーキルト

ロケラニローズのベビーキルト

 

本物の花を観察してから、花の中のキルティングラインや、可憐な様子をより細かく表現できるものもあります。写真で見た植物からクリエイティブになるのと、本物を手にとって観察しクリエイティブになるのとでは、根本的に意味が違うこともよくわかりますよね。本物のお花を探しに、是非ハワイにいらしてくださいね。

今回あえてマウイ島の花であるロケラニローズをご紹介しました。

皆様もすでにご存知だと思いますが、今年8月8日の朝、ラハイナの街は山火事の影響を受け、大きな火事がありました。それにより、多くの方々の命が奪われ、歴史的な街は壊滅状態になってしまいました。その映像を見るたびに心が締め付けられる気持ちになります。2ヶ月以上経ったいまでも、多くの人が苦しみ、家を失い、職を失い、大変な葛藤をされています。今回はこのロケラニローズの記事を書いていますが、なかなか書くことができず、今でも私たちに何ができるのかをずっと考えています。今の私たちは自分たちにできることを一つ一つやっていくしかないですが、マウイ島の復活に力をとお考えの方は是非こちらのページをご覧ください。よろしくお願いいたします。

マウイ島西部山火事救助金

https://pacificresorts.co.jp/kawaraban/information/support-maui/

アン

 

11月8日(水)から12日(日)まで横浜みなとみらいギャラリーでハワイアンキルト展を開催することになりました。朝11時から18時(最終日は16時)まで、無料でご入場できます。伝統的なハワイアンキルトを展示させていただきますので、お時間ある方、是非お立ち寄りくださいませ。キルティングビーも開催いたします。皆様にお会いできること楽しみにしております。

11月8日(水曜日)11時から18時

11月9日(木曜日)11時から18時

11月10日(金曜日)11時から18時

11月11日(土曜日)11時から18時

11月12日  (日曜日)11時から16時

入場無料

キルティングビーのお申し込み(有料):
http://anne-quilt.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=2882454&csid=0

筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。

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