アローハ!
ホノルル美術館からのバスで行くシャングリラ・ツアーに参加して来ました。長い間行きたかった場所ですが、予約を取るタイミングが難しく今まで参加することができませんでした。今回念願だった予約が取れたので、今日はそのシャングリラという邸宅をご紹介いたしますね。
シャングリラとはドリス・デュークさんの個人邸宅の名前です。ものすごい数の美術品などがあることから個人美術館としてシャングリラー・ツアーとして催行されています。ホノルル美術館がこのツアーを催行しています。美術館に集合してから、ミニバスに乗り込み邸宅まで案内してもらいます。よって一回のツアーで約20名くらいしか参加できないわけですね。閑静なカハラの中(カハラに近い)の海沿いに建てた5エーカーの広さの邸宅です。中に入らないとその素晴らしさというのは全くわかりません。ハワイにイスラム美術がここまで見ることができる場所は他にはないです。私もイスラムの芸術を見たのは今までにあまりないような気がします。
まずはドリス・デュークさんのことからご紹介しましょう。
ドリスさんは1912年、タバコと電気会社により一代にして大富豪の父の元、ニューヨークにて生まれました。ドリスさんが12歳の時にそのお父さんがなくなったため、今のお金で約10億ドルを遺産としてもらいました。世界一最年少の富豪ということで話題になったそうです。その後色々な趣味を持ち、21歳の若さで「ドリス・デューク財団」を設立し環境保護などで慈善活動を始めます。22歳で最初の結婚をしたドリスは新婚旅行に9ヶ月かけて世界旅行をしました。その間、中東でイスラム文化や芸術に巡り合い、その後もインド、モロッコ、エジプト、イラン、イラク、シリア、トルコなどでアート作品などの収集を始めました。新婚旅行の最終地はハワイであり、ハワイの文化、人々の温かさに触れ、ハワイでの家の購入を考えたそうです。その後建築にも加わり、1937年には現在の豪邸が完成され、3,500点ものアートが世界中から集められシャングリラと呼ばれる邸宅が完成しました。1993年にドリスさんが亡くなると、彼女の財産のほとんどがドリス・デューク財団に寄付され、2002年にはイスラム文化や芸術、建築様式を展示する美術館としての一般公開が始められました。
ということでツアーの始めに案内される玄関のような場所からすでに素晴らしい天井のアートが広がります。
エントランス・ホールから自由に館内を移動できるようになります。数人の案内の方があちらこちらにいるので、質問があればその方たちに色々教えていただけます。私はラッキーなことに、イオラニ宮殿のドーセントの先輩であるYukikoさんがここのドーセントもされていて、色々と細かい説明を聞くことができました。
エントランスからすぐにカジャール・ギャラリーに続きます。パンフレットだけだとよく分からずに通り過ぎるところを、Yukikoさんに色々説明をしていただき、細かなことを教えていただきました。特に彫刻を施されたようなランプはライトをつけた時とつけてない時とでは表情が変わります。普段はそのような細かい説明は聞けないようなので、得した気分になりました。天井も壁もアートの宝庫です。こういう部屋はその本国からの職人さんを呼んで改修が行われるそうですが、ここの改修はカジャール・アートを勉強している大学院生や研究生などで職人たちに認められた人たちにより行われたそうです。改修するには時間もお金もかかるということですね。
まだエントランスと1つ目のお部屋しか見てないのに、このくらいの文章になってしまいます。正味1時間くらいの見学時間しかないので、時間が足りないのがおわかりだと思います。
プライベート・ホールウェイは渡り廊下みたいなもので一度外に出るのですが、素敵な小さい庭を横切ります。廊下の最初にはハワイアンキルト風のシンメトリックのモザイクが床に施してありました。これを見た私は勝手にハワイアンキルトとの繋がりを感じたのです。とにかく床、壁、天井、すべてがアートなのです。廊下の左手にはもともと旦那さんのベッドルームだったモロッコ・ギャラリー、そしてその奥はドリスさんのもともとベッドルームだったムガール・ギャラリーが広がります。
ムガール・ギャラリーは女性らしいマーブル細工が施されたアートが部屋全体に広がっていました。もともとフロリダに邸宅を建てる予定だったドリスさんはこのハワイの地に来た途端、それをやめてこのシャングリラを建てられたそうです。バスルームはものすごく素敵で、私はこの場所が大好きになりました。
そしてセントラル・コートヤードに来ました。ここには壁いっぱいの2m以上ある高さのモザイクが目を惹きます。これは本国で作られた後、幾つにものピースに分けられ、ハワイまで輸送されたそうです。アートには呪文のような文字がありますが、アラビア語が書かれているそうです。また、シンメトリーのようなデザインですが、完璧は神のみということで、右と左がまったく同じには作られていないそうです。細かいことをたくさん教えてくださいYukikoさん、録音して一言一言逃さないようにしたかったです。また近い将来ぜひ行かせていただきますね。
そして海の目の前の庭に出てみました。お天気も良く気持ちの良い素晴らしいお庭でした。プールの向こうにはゲストハウスの建物があります。そしてドリスさんはこの場所でゲストを招いてパーティをやられていたそうです。庭の前の海にはヨットなどを停泊させるための場所も作られていたみたいですが、なかなか停泊までは辿り着かなかったようです。
そしてリビングルーム、海の目の前のダイニングルームに進みました。リビングルームでは窓が自動で開く仕掛けもあること、暖炉があること、素晴らしいカーペットが敷かれていること、アートとしてのキルトが掛けられていることなどなど。。。数えきれないアート作品が所狭しと展示してあります。
ダイニングルームはオーシャンフロントで、天井からはバカラの素晴らしいガラスのシャンデリアが目を惹きました。細かい細工がされたシャンデリア。どのくらい重さがあるのだろうと思ってしまうほどの大きさでした。壁のモザイクはもともとガーデンにあったそうですが、ある日ドリスがダニングルームに移動する!という一言で今のようにダイニングルームの壁いっぱいに飾られるようになったそうです。こちらの壁のモザイクもため息のでるような細かいデザインです。
ミフラーブ・ギャラリーにはモスク(回教寺院)でメッカに使われたアートが壁に埋め込まれています。またメッカの方向に向いているということで、細かい細工とアラビア語での言葉も表現されています。個人宅では考えられないような世界中の芸術作品の宝庫です。
最後にオスマンのギャラリーを周り、コートヤードに戻ります。ここまでざっと1時間(厳密に言えば45分)のツアーですが、もちろん1時間では細かいところまで見ることができず、ムガールの庭園を見落としてしまいました。よってもう数回訪れて見落とした場所を確認する必要があります。1度だけではなく2度3度行きたいと思割れる人も多く、このツアーはいつも大人気だということがよく理解できました。Yukikoさんお世話になりました。とても実り多い1日になりました。
7月は真夏のハワイ。当時はエアコンがなくても風通りの良かった場所だとは思いますが、最初にこのアートのうちわが全員に配られる意味がよくわかりました。このうちわも壁のモザイクアートをそのまま使ったものだと思われます。時期によってデザインも変わるようなので、それも楽しみの一つになるかもしれませんね。
ツアーの最後はお水とアイスクリームが渡され、ちょっとひんやりとしました。
そのあとはまたミニバスに乗り、ホノルル美術館に戻りました。そこでツアーは解散です。料金の中にはホノルル美術館の入場料も含まれているので、なんかお得な感じがしました。久しぶりに美術館も周り、充実した1日となりました。今度はちょっと違う季節に行きたいと思いました。
みなさんもハワイに来られるのが決まったら、ぜひ予約をして訪れてみてくださいね。
アン
シャングリラ・ツアーのサイトはこちらから(英語のみ)
→ https://www.shangrilahawaii.org/visit/
チケットを購入されたい人はこちらから(英語のみ)
→ https://secure.honolulumuseum.org/events?k=shangri%20la
伝統的なハワイアンキルトを学びたい方は、リニューアル・オープンした私のサイトを是非ご覧ください。
→ https://www.anne-hawaiianquilt.com
筆者プロフィール
- アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。
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