ハワイを訪れるとリゾート地でも出合う可能性の高い鳥のいくつかを紹介します。ここに挙げた鳥は、前回紹介した鳥と同じく人の手によって導入され、定着したものです。

ハワイの鳥(2)

1)シリアカヒヨドリ
全長約20cm。オス、メスともに同色です。全体に暗褐色ですが、頭部とくちばしは黒色です。尻と尾の先が赤色になるのが名の由来。冠羽が特徴です。 スズメと同じく雑食性で、なんでも食べます。年に最多で4度も卵を産み、諸島の広範囲に分布します。オアフ島ではダイアモンドヘッド山麓に多く見られます。

分類:スズメ目ヒヨドリ科シロガシラ属
学名:Pycnonotus cafer
ハワイ名:なし
英名:Red-vented bulbul
和名:シリアカヒヨドリ
原産地:パキスタン、インド、インドシナ、東南アジア

シリアカヒヨドリ

シリアカヒヨドリ

2)カバイロハッカ
全長約23cm。日本のムクドリに近いサイズです。目の周りの黄色の模様いが特徴です。ハワイではハトやスズメとともによく見られる鳥で、街中から郊外まで広く分布しますオス、メスともに同色で、番(つがい)での行動が基本です。

分類:スズメ目ムクドリ科ハッカチョウ属
学名:Acridotheres tristis
ハワイ名:なし
英名:Common Myna
和名:カバイロハッカ、インドハッカ
原産地:アジア広域、侵略的外来種指定

カバイロハッカ

カバイロハッカ

3)オナガカエデチョウ
全長約10cmと、ハワイではもっとも小型の鳥のひとつです。赤味を帯びた灰色の羽毛を持ちますが、細かな黒いラインが特徴です尾は黒色、目の周りとクチバシは濃いピンク色で、オス、メスともに同色です。1970年代の後半にオアフ島で最初に確認されました。オアフ島を中心に主要4島で分布が確認されています。街中から森林地帯まで次第にその勢力範囲を広げています。主に草の種子を食べます。

分類:スズメ目カエデチョウ科カエデチョウ属
学名:Estrilda astrild
ハワイ名:なし
英名:Common Waxbill
和名:オナガカエデチョウ
原産地:アフリカ

オナガカエデチョウ

オナガカエデチョウ

4)メキシコマシコ
全長約15cm。オスとメスとは体色が異なります。基本色は、オスは額から胸にかけて赤みがかり、メスは全体に茶褐色です。ハワイではオレンジ色や黄色の個体も多く生息します。クチバシは灰色で足は濃灰色です。メスはイエスズメに少し似ます。ハワイ諸島では、主要6島に分布します。

分類:スズメ目アトリ科マシコ属
学名:Carpodacus mexicanus
ハワイ名:Manu ʻai mīkana、Manu ʻai papaia、Hōpue
英名:House Finch
和名:メキシコマシコ
原産地:北米西部

メキシコマシコ(赤色のオス)

メキシコマシコ(赤色のオス)

メキシコマシコ(黄色のオス)

メキシコマシコ(黄色のオス)

メキシコマシコ(メス)

メキシコマシコ(メス)

5)ブンチョウ
全長約15cm。オス、メスともに同色です。背の部分は青灰色で頬は白色、腹部は淡いピンク色、クチバシもピンク色で、それ以外は黒色です。ハワイには1867年に人の手によって持ち込まれたという記録がありますが、1960年代に多くが持ち込まれました。オアフ島を中心に分布域を広げ、現在では主要4島に分布します。

分類:スズメ目カエデチョウ科キンパラ属
学名:Lonchura oryzivora
ハワイ名:なし
英名:Java Sparrow
和名:ブンチョウ
原産地:インドネシア(ジャワ島)

ブンチョウ

ブンチョウ

6)キバシコウカンチョウ
全長約18cm。オス、メスともに同色です。背と喉が黒色、頭部は赤色、胸から腹にかけては白色です。クチバシの黄色いことが英名の由来です。1930年代にコナとカヴァイハエに持ち込まれたという記録がありますが、本格的な導入は1975年で、ハワイ島のコナに導入されました。その後次第に生息域を広げ、現在はサウスポイントやヒロでも見られます。草の種を主食とします。コウカンチョウに似ますが、冠羽がない点が大きな違いです。

分類:スズメ目ショウジョウコウカンチョウ科ショウジョウコウカンチョウ属
学名:Paroaria capitata
ハワイ名:Manu ʻulaʻula
英名:Yellow-billed cardinal
和名:キバシコウカンチョウ
原産地:南米

キバシコウカンチョウ

キバシコウカンチョウ

7)コウカンチョウ
全長約19cm。胸部と腹部の色は、オスとメスはともに同色で、頭部に羽冠があります。1929年にハワイに導入されました。当初はオアフ島に多く分布していましたが、現在は諸島に広く分布します。

分類:スズメ目ショウジョウコウカンチョウ科ショウジョウコウカンチョウ属
学名:Paroaria coronata
ハワイ名:Manu ʻulaʻula
英名:Red-crested Cardinal
和名:コウカンチョウ
原産地:南米アマゾン流域以南、日本では侵略的外来種指定

コウカンチョウ

コウカンチョウ

8)ショウジョウコウカンチョウ
全長約21㎝。オスは赤色でメスは褐色から淡褐です。胸部から腹部にかけてオスは赤色ですが、メスは淡褐色から白色のグラデーションです。目とクチバシの周りが黒色であるのが特徴です。この鳥の学名と英名の由来は、枢機卿の名に由来しています。枢機卿は真紅のマントをまとうため、赤色の代名詞として用いられました。また米大リーグのセントルイス・カージナルスのユニフォームにはこの鳥が描かれています。ハワイではコウカンチョウと同時期の1929年に導入され、諸島全域に広がりはじめています。

分類:スズメ目ショウジョウコウカンチョウ科ショウジョウコウカンチョウ属
学名:Cardinalis cardinalis
ハワイ名:Manu ʻulaʻula
英名:Northern Cardinal
和名:ショウジョウコウカンチョウ
原産地:北アメリカ

ショウジョウコウカンチョウ

ショウジョウコウカンチョウ

9)コウラウン
全長約18cm。オスとメスはともに同色。頭部から背にかけて濃褐色で、胸部から腹部にかけては白色をしています。尾は黒色ですが、先端部分に白色があります。頭頂部には黒く高い冠羽があります。ハワイへは1984年に導入され、オアフ島にのみ生息します。

分類:スズメ目ヒヨドリ科シロガシラ属
学名:Pycnonotus jocosus
ハワイ名:なし
英名:Red Whiskered Bulbul
和名:コウラウン
原産地:中国南部、インドシナ半島、ミャンマー、インド北部、日本では侵略的外来種指定

コウラウン

コウラウン

10)キンノジコ
全長約18cm。オスとメスとでは体色が異なります。オスは頭部から胸部、腹部にかけて黄色一色ですが、メスは顔が白色で、胸部から腹部は白の混ざる黄色で褐色の斑が広がります。ハワイには1960年代に導入され、現在はハワイ島のコナ地区やカヴァイハエを中心としたコハラ地区に多く生息します。他にオアフ島やカウアイ島でも見られます。

分類:スズメ目フウキンチョウ科キンノジコ属
学名:Sicalis flaveola
ハワイ名:なし
英名:Safron Finch
和名:キンノジコ
原産地:中南米

キンノジコ

キンノジコ

 

筆者プロフィール

近藤純夫
カワラ版のネイチャー・ガイド。本業はエッセイスト兼翻訳家だが、いまはハワイの魅力を支えている自然をもっと知ってもらうことに力を注ぐ。趣味は穴潜りと読書。ハワイ滞在中も時間をやりくりして書店通いをしている。

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