9月になってもまだまだ暑い日が続きますが、そろそろ秋の気配。と言う事で、読書の秋に向けてハワイが舞台の本をご紹介しましょう。今回ご紹介する本は、私の持っているハワイに関する本の中では、比較的新しい本と、比較的古い本です。

山とハワイ(鈴木ともこ 著)

まずは、比較的新しい方の本のご紹介です。山登り体験をテーマにしたエッセイ漫画を、多く発表されている鈴木ともこさんのご著書「山とハワイ」は一昨年刊行されました。
「山とハワイ」は、鈴木さんがハワイ島、カウアイ島、オアフ島へ家族旅行をした事を描いたエッセイ漫画です。ハワイを舞台にした旅行記やエッセイ漫画は、数多く刊行されていますが、その中で「山とハワイ」はタイトルの通り「登山」をテーマにした、珍しいエッセイ漫画ではないでしょうか。山登りだけではなく、ご家族のハワイ観光の様子や、ハワイの歴史や文化についても、くわしく漫画にされているので、山登りにはあまり興味がない方でも、ハワイが好きな方なら楽しく読める本です。

マウナ・ケア中腹から見たマウナ・ロア

マウナ・ケア中腹から見たマウナ・ロア

でもやはり、この本について特筆すべきなのは、鈴木さんご夫妻がハワイの山々をトレッキングされた体験についてでしょう。鈴木さんが歩いたのは、ハワイ島のキラウエア・イキやオアフ島のダイヤモンド・ヘッドなど、割り合い誰もが歩けるトレッキング・コースから、ハワイ島のマウナ・ロア(の山頂へ)やカウアイ島のカララウ・トレイル(の終点まで)など本格的なコースまで様々です。
なかでも、鈴木さんご夫妻がマウナ・ロア山頂へ登られた体験は特別なものでしょう。マウナ・ロア山頂への過酷な行程は、漫画で読むことによって、より視覚的に強く感じる事ができたように思います。歩いても歩いても溶岩が続くトレイルを、重い荷物を背負ってひたすら歩く辛さが、ひしひしと伝わってきました。マウナ・ロアを踏破できたのは、登山の経験が豊かな鈴木さんご夫妻ならではなのでしょう。
カウアイ島のカララウ・トレイル踏破も、難なくされている印象を受けますが、途中のハナカピアイ・ビーチまででも結構大変です(個人の感想ですが)。なかなかできないハワイの体験を、漫画を通して知る事ができる一冊です。

マウナ・ロア・オブザバトリー・ロード。「9000」は標高9000フィート(約2743m)の意味

マウナ・ロア・オブザバトリー・ロード。「9000」は標高9000フィート(約2743m)の意味

鈴木さんがハワイをご旅行されたのは、おそらく今から10年以上前ではないかと思います。この間には火山活動やコロナの影響などがあり、状況がかなり変わっている所もありますが、それられについても注釈が付いているので、ハワイでトレッキングを楽しみたい方の参考にもなるでしょう。ハワイ島やカウアイ島へ行ってみたい方にもオススメです。

カララウ・トレイル。途中のハナカピアイ・ビーチまでもまだまだ遠い

カララウ・トレイル。途中のハナカピアイ・ビーチまでもまだまだ遠い

 

ハワイ・マナ(中野次郎 著)

ハワイを題材にした多くのエッセイや紀行本がありますが、私が何度も読み返したのが「ハワイ・マナ」です。「ハワイ・マナ」が刊行されたのは今から30年ほど前。ハワイの歴史や文化に触れる紀行本は、まだあまりなかった頃です。
著者の中野次郎先生は、ハワイ大学で教鞭を取られ、ハワイ島ヒロで開業された医師です。ハワイを愛する中野先生は、ハワイの歴史や文化、言葉、神話などをハワイ大学で聴講され、またハワイの多くの日系人や、ハワイのレジェンドとも呼ぶべき人々から、たくさんの話を聞かれたそうです。そのご経験から書かれた「ハワイ・マナ」は、単なるエッセイではない、ハワイを深く知るための手引き書のようにも感じます。
この本を読んでハワイについて初めて知った様々な事柄は、ハワイにより興味を持つきっかけになりました。今読んでも、古さを感じない本だと思います。

上空から見たハワイ島ヒロのダウンタウン

上空から見たハワイ島ヒロのダウンタウン

「ハワイ・マナ」は、ワイキキで発行されていた日本語のフリーペーパー「ジャパニーズ・ビーチ・プレス」に中野先生が「ハワイ島便り」というタイトルで寄稿されていたエッセイが基になっています。中野先生は本にまとめられる際に、多くの修正や加筆をされたそうです。そのため「ハワイ・マナ」は、ハワイの神話や歴史、植物や食べ物など、多岐に渡る内容になっています。
「ハワイ島便り」の面影を感じる部分も多く、それが「ハワイ・マナ」の魅力になっているようにも思います。なかでも先生が開業されていたハワイ島を舞台にしたエッセイは、景色が見えるような感じがする大好きな部分です。ヒロが発祥と言われるロコモコの逸話や、ワイメアのレイメーカーの話、アンスリウム(本の中では「アンスリアム」と記載)栽培の話など、日系人が主役のエピソードも、興味深く感じました。

ヒロには日系人の足跡が多く残っています

ヒロには日系人の足跡が多く残っています

ハワイの主要な島々についても紹介されているので、例えばネイバーアイランドに行ってみたいと思っている方や、ワイキキ以外のオアフ島を観光したいと考えている方にも、オススメの本です。ハワイについて色々知りたいけれど、何から調べたらいいのかな、と思っている方にもオススメです。「ハワイ・マナ」を読むとガイドブックとは違うハワイを知る事ができるでしょう。

ロコモコで有名なヒロのカフェ100

ロコモコで有名なヒロのカフェ100

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筆者プロフィール

NOPU
NOPU
ハワイは20年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU:http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/