アローハ!

ハワイは夏を迎え、街にはシャワーツリーの花が咲いています。また、他の植物もたくさんの花を付け始めました。ハワイはお花の綺麗な時期になりました。さて、1日限定でOHAのオフィスで展示された15枚のポアカラニ・ハワイアンキルトは、展示後すべて英国オックスフォードのピット・リバーズ博物館に送られ、そこで展示され永久的に保管されることになりました。今日はその展示会の様子をご紹介しましょう。

ポアカラニ・ハワイアンキルトの展示会でのシシーさん

2020年にオックス・フォードの博物館の一つであり、民族や考古資料がぎっしりと詰まったピット・リバーズ博物館とポアカラニ・ハワイアンキルトのコラボレーション・プロジェクトは、博物館の学芸員のマレンカ・トンプソンーオドラムさんからの依頼で、まずは1枚の90インチ角(約2.3m角)のハワイアンキルトを製作することから始まったそうです。ポアカラニ・キルトの代表であるシシーさんとの話し合いの結果、最初は大きなキルト1枚を、すでに博物館に展示されている王の羽のマントの横に飾り、ハワイの文化を伝えるということだったそうですが、1枚のハワイアンキルトではハワイアンキルトの文化を伝えきれられないということで、15枚の45インチ角(約1m角)に変更されたそうです。確かに15枚のハワイアンキルトは15通りのデザインがあるわけで、ハワイアンの文化や植物をもっとこと細く伝えられるということになりますね。そしてパンデミックが起こってしまったため、そのプロジェクトの完成も今年になってしまったとのことです。そしてその15枚のハワイアンキルト の展示が2022年5月31日OHAのオフィスで10時から14時までの4時間だけ開催されたのです。この貴重な4時間のみの展示なので、見に行かせていただきました。私も2020年3月のホノルルフェスティバルで展示があるのを楽しみにしていたのですが、最後の最後でキャンセルになってしまったので、ポアカラニのキルターの皆さんにお会いするのは2019年3月以来ということになりました。シシーさんにお会いしたのも本当に久しぶりで本当に嬉しかったです。

OHAのオフィスで飾られたNa Mele’o Hula Kahiko Quilt, Designed by John Serrao and Quilted by Yoshimi Suzuki

OHAというのは、オフィス・オブ・ハワイアン・アフェアというハワイ州の自治法人の団体です。ハワイアンのほぼすべてのことに精通し、活動をしています。そのオフィスがスポンサーとなり、今回の貴重な展示となりました。当日はピット・リバース博物館の学芸員のマレンカさんとも直接お会いすることができとても光栄でした。ハワイとイギリスは昔から交流があり、ハワイ州の旗にはユニオンジャックが入っています。ハワイ王朝とも深い関わりがあり、ヴィクトリア女王のゴールデン・ジュビリーの時には当時のカラカウア王のお妃であったカピオラニ王妃と王の妹であるリリウオカラニ王女も式典に参加しています。そんな関わり合いもあることなので、今回のハワイアンキルト15枚が海を渡り、イギリスの博物館に永遠に飾られるとうのは深い縁があると思います。

イギリスのヴィクトリア女王のゴールデンジュビリーの式典の様子

今回イギリスに送られたキルトはすべてジョン・セラオさんのデザインのものです。ジョンさんも奥様だったポアカラニさんもハワイアンで、ポアカラニさんの祖先よりハワイアンキルトをやられていた一家だったそうです。ポアカラニさんは生まれながら、片手が不自由なこともあり、なかなかハワイアンキルト作りを許されなかったと聞いていますが、旦那様であったジョンさんがポアカラニさんのためにクッションサイズのデザインを描いてあげたというのは有名な話です。それまではハワイアンキルトとはベッドサイズの大きなキルトだけを作るものだったからです。お二人とも亡くなられてしまったため、今では娘さんのシシーさんがその後を継いでいらっしゃいます。パンデミックの前までは、毎週土曜日にイオラニ宮殿の一部のビルの中で、キルティンググループは集まっていたのですが、未だにそれは再開されていないとのことです。今回の15枚のキルトはポアカラニ・ハワイアンキルトで先生をやられている人や生徒さんにより手作りされたものです。一針一針、手縫いで縫い上げるハワイアンキルト はハワイの伝統文化です。イギリスの博物館でもその文化を伝承して、より多くの世界の方々にハワイアンキルトの魅力を知っていただきたいと思います。

15枚のハワイアンキルトの様子、左はNa Mea Ali'i Wahine, Quilted by Nobuko Nakagawa, 右はTilef,  Quilted by Pat Gorelangton

私はアンティレイ、アンティキャシー、ふみいさんなどのアンティにハワイアンキルトの文化や歴史を教えていただきました。そんな中、ポアカラニ・ハワイアンキルトには属してないのですが、私が長年、ハワイの大切な文化であるハワイアンキルトの製作をしているのを見てくださったジョンさんが、私をハワイアンキルターとして認めてくださったことが、私の財産となっています。また、私のために描き下ろしてくださったハワイアンの楽器のデザインを製作し、ジョンさんに見ていただけたことが大きな喜びとなりました。ジョンさんのデザインを描く時の作業は素晴らしいです。横で見ていて、鳥肌が経ちました。私が持っているインスピレーションは音楽だとおっしゃって、このデザインを作ってくださいました。ジョンさんとポアカラニさんの心を継がれているシシーさんとも仲良くさせていただき、素晴らしいハワイアンの文化をこれからも後世に伝えていけたらと思っています。

ジョンさんか私のために描き下ろしでくださった“Ho’olohe I Na Mele O Makou Kupuna”のキルト

毎年開催される3月のホノルルフェスティバルは3回キャンセルになりましたが、来年2023年の3月には必ず開催されると、主催者側の方から発表がありました。そうすると私のアンのハワイアンキルトとポアカラニ・ハワイアンキルトは隣同士でハワイアンキルトの展示をさせていだけることになるかと思います。皆様どうぞお楽しみにしててくださいね!

 

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筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。

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