新年おめでとうございます。
2016年も皆様にとりまして素敵な1年でありますように。
ハワイでは公式な場所で、女性はムームー、男性はアロハシャツを着るというのが認められています。ハワイには1820年以前はほとんど生地が存在しませんでした。1778年キャプテンクックが来島してからは、ヨーロッパの人達がハワイに生地を持ち込んだりしていました。決定的になったのは、1820年に宣教師の妻達がドレスを着ていたことで、そのドレスが王族の女性に広まり、時間と形を変え、現在のムームーの姿になったということです。
1820年以前、ハワイの女性達はワウケの表皮から叩いて作ったカパというものを、何枚かに重ね、パウと呼ばれるスカートを身にまとったりしていましたが、ほぼ上半身は裸の状態でした。
宣教師がハワイに到着したとき、王家の女性達も出迎えに行きました。宣教師の妻達が着ていた西洋のドレスは、ハイウエスト、細いスカート、そしてタイトな長袖のドレスでした。このドレスを見た王族の女性達は、同じようなドレスが着たくなりました。
当時の王族の女性達は体重が300パウンド(約136kg)近くある体型だったので、妻達はその体型に合わせゆったりとしたスカートに、ヨークを胸よりも少し高い位置に移動した袖の短かいドレスを王族の女性に仕立てました。一説ではこの服がムームーで、下着(シミーズ)や寝間着、室内着になりました。そしてホロクと呼ばれたドレスは、ヨークが付き、裾は後ろが眺めのトレーンがあり、フォーマルに作られたということです。ムームーが下着で、ホロクがドレスとなりました。ハワイの気候では、2枚重ねは暑く、いつの間にかムームーはカジュアル、ホロクはフォーマルなドレスになりました。
ホロクの語源ですが、宣教師の妻達が紹介した足踏みミシンは、ホロは動かす、クは止めるとハワイ語では意味するので、そこから来たとも言われています。
20世紀になってからは、ムームーが寝間着、室内着から生地も変わり、1960年代には体の線に合わせ、裾が短くなったホロムーが誕生し、一般的に外出着として認められ、これが現在のムームーです 。ラッフルやタッティングレースなどの装飾の付いたホロクは、イブニングドレスのようにドレッシーに変化しました。また、カスタムメイドで、ウエストの部分も細く、体の線に沿ったドレッシーなものは、ハワイ文化を存分に感じられ、地元の人達のウェディングドレスやフラなどにはとても人気があります。
ハワイの文化を紹介する場所では、私達はムームーを着ることが多いです。ですが、やはりきちんとしたムームーを着ようと思うと、お土産屋ではなく、ムームー専門店で買うことになります。
長い間、既成のムームーを買っていましたが、ハワイ島で所属しているキルト会で知り合った友達がドレスメーカーだったので、ムームーの作り方を教えてもらえることになりました。
すでにムームーの型紙を手に入れていたので、そのパターンで作ることにしました。Victoria Jonesさんのパターンを使ってみました。日本の洋裁よりも合理的に作れるパターンは素晴らしかったです。型紙をSS, S, M, L, LLの5種類から選べるので、まずは自分のサイズを探します。そして型紙をカットしてもいいですが、多くの人は、カットする生地の上にピンで押さえ、サイズに沿って型紙と生地を一緒にカットします。キルト用のよく切れるはさみは使ってはいけません! キルト用から一段階下に下げたはさみを使用しましょう。(型紙も一緒にカットするので)
使う生地はポリコットン生地でもいいですし、コットン100%でも大丈夫です。私は移動が多いので、ポリコットンだとシワになりにくくアイロンも楽なので、使ってみました。まずはヨークのある、比較的簡単だと言われるスタイルを作ってみました。
生地の模様に方向があるものは、模様合わせも忘れてはいけません。
それに伴い、ロックミシン(アメリカではサージャーと言う)を購入してみました。
一度作り方を覚えてしまえば、ミシンというのは本当に楽です。同じパターンで2枚のムームーをまずは作ってみました。このスタイルには、ヨークの部分に接着芯を付けないといけないのですが、アイロンで付くタイプのものではなく、縫い付けるタイプの方が、洗濯をしても弱らないということで選びました。
2つめのムームーは、襟や肩の部分、袖の部分にゴムが入ってふわっとしているスタイルにしました。裾の部分もたっぷりとギャザーがあるタイプなので、コットン100%の生地を使ってみました。やはりポリコットンよりもボリュームが出やすくなったと思います。このタイプのムームーも2枚作ってみました。ゴムの引っ張り方で形が変わってしまうので、ムームー作りも奥が深いです。
3つめのムームーはそでと裾のフリルのボリュームが多いパターンにしました。こちらもコットン100%の生地を使い動く感じを大切にしてみました。3つのスタイルが全然違いますので、作成するにあたりとても勉強になりました。おかげでムームー作りが楽しくなってしまいました! 4つめのムームーは今年挑戦したいと思います。ホロクと呼ばれる、少しスタイリッシュで、裾の長いムームーを作りたいと思います。
2016年もどうぞよろしくお願いいたします。
By アン
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筆者プロフィール
- アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。
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