パラパライ

標高200m~2000mの冷涼な土地に分布します。パラパライはパライとかパライ・ウラとも呼ばれ、ハワイ語で「赤い茎(黒い茎」」を意味します。パラパライは香りが良いため、ハワイの伝統文化においては、レイの素材として用いられました。葉はやわらかく柔軟性があるので、単独で用いるだけでなく、ほかの花と組み合わせて使うこともあります。パラパライは捧げものとしてではなく、フラの女神ラカの化身とみなされる場合もあります。

【学名】Microlepia strigosa
【ハワイ名】Palai, Palapalai, Palaiula
【英名】Lace fern
【和名】イシカグマ
【原産地】ヒマラヤ、スリランカ、東南アジア、ポリネシア、日本
【特徴】シダ、葉身0・6〜1・3m
【備考】在来種 コバノイシカグマ科

パライ(パラパライ)

パライ(パラパライ)

パラアー

標高50m~1500mの湿地に分布します。葉は非常に細かく分岐し、のひとつひとつが赤ん坊の手のような形状をしています。その見た目がレースのように見えることが英名の由来です。伝統文化では、パラパライの代わりとしてレイを編み、フラの儀式に用いられました。また、枯れて乾燥した葉に水を混ぜて赤茶色の染料をつくり、カパという不織布を染めるのに用いました。

【学名】Sphenomeris chinensis
【ハワイ名】Pala’ā, Palae, Palapala’ā
【英名】Lace fern
【和名】ホラシノブ
【原産地】ポリネシア、日本を含む東アジア
【特徴】シダ、葉身0・6〜1・5m
【備考】在来種 ホングウシダ科

パラアー

パラアー

イヴァイヴァ

標高350 m~4000 mの、日差しがあたる噴石丘や溶岩流の割れ目などに育ちます。葉は柔らかく良い香りを放ちます。フラの祭壇や衣裳などに用いられます。イヴァイヴァは葉身の断面が三角形をしている点が特徴で、柄はわずかに赤みを帯びます。今日では個体数を減らし、オアフ島以外ではほとんど見られません。ハワイ名には「水を浄める」という意味があり、伝統社会ではマットに織り込んでデザインのひとつとしました。

【学名】Adiantum capillus
【ハワイ名】ʻIwaʻiwa, ʻIwaʻiwa hāwai, ʻIwaʻiwa kahakaha
【英名】Maidenhair fern, Venus hair fern, Black maidenhair
【和名】ホウライシダ, アジアンタム
【原産地】北アメリカ、カホオラヴェ島を除く主要ハワイ諸島
【特徴】シダ、葉身30~90m
【備考】在来種 イノモトソウ科

イヴァイヴァ

イヴァイヴァ

ホーイオ

低地から標高1700mの水辺などに分布します。イヴァイヴァと同じ、イノモトソウ科のシダです。伝統文化ではこの葉でポイにしたカロ(タロイモ)を包んで食べたり、オパエ(淡水のエビ)を巻いて食べたりしました。マウイ島ではパホレと呼ばれました。地面や岩の亀裂に生育します。若い葉には甘みがあり、生で食べられます。ホーイオは家庭菜園用として20世紀初頭にカウアイ島に移植されました。ハワイではワラビと混同されることがあります。

【学名】Diplazium arnottii / D. sandwichianum
【ハワイ名】Hō’i’o, Pahole
【英名】なし
【和名】なし
【原産地】主要ハワイ諸島
【特徴】シダ、葉身60 〜120㎝
【備考】固有種 イワデンダ科

ホーイオ

ホーイオ

エーカハ

平地から標高900mの日陰などに分布します。エーカハは円を描くように葉をつけ、鳥が卵を温めた巣のようにもみえることで「鳥の巣」という英名があります。葉の底部に水を集め、スポンジ状の根茎で保水します。葉は分岐せず、一枚もののような形状をしています。このシダは単体で育つだけでなく、他の木と共生することが多いです。 ハワイの伝統文化ではこのシダを編んでマットにしたり、カヌーの骨組みを上から覆う布の代用品として用いられました。エーカハの若葉はエーカハカハと呼ばれます。葉には光沢があり、若い葉は生で食べることができます。近縁のオオタニワタリより大型で、葉裏の胞子嚢群は側脈に沿って伸びます。

植物情報
【学名】Asplenium nidus
【ハワイ名】‘Ēkaha, ‘Ākaha
【英名】Birdʼs nest fern
【和名】シマオオタニワタリ
【原産地】世界の熱帯地域
【特徴】シダ、葉身1・0〜1・5m
【備考】在来種 チャセンシダ科

エーカハ(シマオオタニワタリ)

エーカハ(シマオオタニワタリ)

※エーカハにはオシダ科のElaphoglossum aemulum(ハワイ固有種)もあります。

エーカハ(オペハ)

エーカハ(オペハ)

ラウアエ

ラウアエは平地から標高600mほどの半日陰に分布します。ハワイ名には「最愛の」とか「かわいらしい」という意味があり、ハワイ諸島では多くの地域で見られます。外来種ではあるものの、甘い香りが際立つため、フラなど伝統儀式などで用いられます。カパ(不織布)を作るときはラウアエをはさんで香り付けに用います。生長した葉は胞子嚢が目立ちます。葉はすりつぶして肝臓病や胃痛などの治療薬として、またカパの間にはさんで香りづけにします。ラウアエがハワイ諸島に持ちこまれた正確な時期については諸説ありますが、1922年にオアフ島とマウイ島で発見されたという説と、1919年にマウイ島キパフルで発見されたという説が有力です。19世紀にラウアエの名が用いられたという文献もあります。

【学名】Microsorium grossus, M.scolopendria
【ハワイ名】Laua’e, Laua'e haole
【英名】Lauae fern, Wart fern, Maile 〜scented fern
【和名】オキナワウラボシ
【原産地】沖縄〜東南アジア〜アフリカの熱帯地域
【特徴】シダ、葉身50〜90㎝
【備考】外来種 ウラボシ科

ラウアエ

ラウアエ

シダと自然環境

シダ類はそのほとんどが森の下生えとして分布しており、雨水を吸収して地下の帯水層に蓄えます。また、在来のシダながら有害と見られることの多いウルヘの中には、森林再生に欠かせないと考える人もいます。ウルヘはアジサイのようになかなか朽ちず、長期間そのままの形を保つので、保水の役割を果たしているとも言えます。

暮らしと信仰の関わり

ハワイの伝統社会において、シダは花をつける植物以上に重要な役割を担いました。その役割とは「香りを重視するレイ」ではなかったはずです。本来のレイはマナを受け取ったり、逃がさないためのものであり、香りは大きな要素ではありませんでした。むしろ、神々のキノ・ラウ(化身)として重視されていたと思われます。パラパライがフラの女神ラカのキノ・ラウであり、パラアーが女神ヒイアカの旅の連れ合いであるように、信仰との関わりが強いものでした。

しかし同時にホーイオやエーカハのように食用としての意味合いや、ハープウのような救荒作物としての関わり、あるいはアマウのような、カパ(不織布)や染料としての意味合いなど、暮らしに不可欠な存在としてシダは用いられてきたことから、それらにまつわる神話が誕生したと考えられます。また、今日のハワイ社会でも、ラウアエなどは暮らしのなかに溶けこんでいます。シダはハワイの文化において今なお、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

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