オカズ屋へ行こう！＜ハワイ島＞

食欲の秋シリーズ第2弾は、ハワイ島ヒロにあるオカズ屋をご紹介します。
さて、オカズ屋とはなんでしょう？　オカズ屋は、主に和食由来の料理を販売する、ハワイのデリカテッセンです。日本語のまま「オカズヤ」と呼ばれています。ハワイに移住した日系人が、自分で弁当を作れない他の日系人労働者のために、料理を売ったのがオカズ屋の始まりだそうです。また、プレート・ランチの起源とも言われています。

オカズ屋に並ぶ料理は日本人に親しみのある、お弁当の「オカズ」が中心です。日本のお弁当屋さんにも似ていますが、メニューが決まったお弁当ではなく、料理を自分で選んでお弁当のスタイルにすることができます。例えば「魚の天ぷらと野菜の天ぷらを一つずつ、チキン2つとスパム握り」のように、オーダーメイドのお弁当を作ってもらうことができるのです。食べたいものを食べたい分だけ注文できて、安価でおいしい。実は、私はハワイでは長年のオカズ屋さんリピーターなのです、ふふふ。

KAWAMOTO STORE

カワモト・ストアでオーダーメイドのお弁当

ヒロ市街地を斜めに横切るキラウエア・アべニュー沿い、郡庁や裁判所などの施設が集まるヒロの官庁街の近くに、カワモト・ストアはあります。カワモト・ストアは70年以上の歴史を持つ、ヒロの老舗店です。20年ほど前に、日系のカワモトさん一家からオーナーは変わりましたが、今も変わらずに、少しなつかしい日本のオカズが提供されています。木枠のショーケースに並ぶ茶色いオカズたち、大きな招き猫、カワモト・ストアへ行くと、昭和にタイム・トリップしたかのような気持ちになります。

キラウエア・アベニュー沿いのカワモト・ストア

カワモト・ストアの朝は早く、6時に開店します。ヒロを拠点にボルーケーノやサドル・ロードへハイキングに行く時は、早朝からオープンしているカワモト・ストアがとても便利です。しかもハイキングのお弁当にぴったりのオカズがそろっています。ハイキング用に荷物を小さくするために、持参の密閉容器にオカズを詰めてもらった事もありました。

カワモト・ストアに並ぶオカズたち

ところで、海外のデリカッテッセンに行くと、お店の仕様が分からずに緊張することはありませんか。ハワイのオカズ屋さんでは、よく知った料理が並んでいるせいか、それほどナーバスになることはありません。カワモト・ストアでも、外国人の私より、メインランドから来たらしいお客さんたちのほうが、戸惑っている感じがします。でも、カワモト・ストアのスタッフが丁寧に接客してくれるので、初めて来たお客さんでも心配することはありません。

オカズ屋さんで注文するコツは、主食になるご飯類をまず選び、オカズを足していくのがいいように思います。ご飯類は、スパムむすびやおにぎり（おにぎりは「ムスビ」といいます）、巻き寿司（これも「マキスシ」でOK）それに稲荷寿司が定番です。稲荷寿司はハワイでは「コーン・スシ」と呼ばれていますが、これは三角に切った油揚げがコーン（円錐）の形をしているからです。稲荷寿司の油揚げを三角に切るのは、西日本に多いと聞きますが、ハワイの日系人のルーツが関係しているのかもしれませんね。

HILO LUNCH SHOP

ヒロ・ランチ・ショップのオーダーメイド弁当。のり・チキンは外せないアイテムです

私が贔屓にするヒロのもう一つのオカズ屋は、メリー・モナークの会場としても有名な、エディス・カナカオレ・スタジアムの近くにあるヒロ・ランチ・ショップです。カワモト・ストアよりも広めの店舗で、駐車場も併設していますが、混み合う時間には、その大きめの駐車場いっぱいに車が停まっていることもあります。もちろん店内も、お客さんでいっぱいです。そのお客さんたちは、みんな注文する順番を待っているので「列の最後はどこですか？」と訊ねると良いと思います。地元の常連客のみなさんは、きっと親切に順番を教えて下さるでしょう。
例え、お客さんが大勢並んでいても、油断はできません。スタッフのみなさんは手際が良く、常連のお客さんたちはほとんどオーダーが決まっているので、あっという間に自分の番になってしまいます。並んでいるうちに、ショーケースのオカズをよく吟味しておきましょう。

ヒロ・ランチ・ショップの店内

ヒロ・ランチ・ショップは、初代の日系人オーナーから何代もオーナーが変わりましたが、なつかしい日本のオカズを提供しているところは、カワモト・ストアと同じです。カワモト・ストアよりもオカズの種類が多く、ロミロミやラウラウなどのハワイ料理もオカズのラインナップになっています。
とはいえ、オカズ屋の定番オカズは、鶏肉料理と天ぷら。ヒロ・ランチ・ショップでも、のり・チキン（のりを巻いた唐揚げ）や、野菜やエビの天ぷらが人気のようです。主食の「ムスビ」や「マキスシ」のように、日本語の名前のオカズも多いのも、興味深い感じがします。「テンプラ」や「ニシメ」「ナマス」「ツケモノ」「タクアン」など、日本語の名前のオカズが多いのは、注文しやすいですね。何より料理の名前が分からなくても、ショーケースに並ぶオカズを指差しで注文できるのは、オカズ屋のいいところです。

ヒロ・ランチ・ショップでも持参の容器で持ち運びやすいお弁当を作ってもらいました。稲荷寿司は三角です

ヒロのローカル・グルメのとっておき、オカズ屋をご紹介しました。ローカル・グルメは、ちょっと敷居が高く感じる方も、親切なスタッフや馴染みのあるオカズで、気軽においしい自分だけのお弁当を作ってもらいましょう。
ご紹介した2つのお店は、どちらも早朝からお昼頃までの営業ですが、閉店間際には商品があまり残っていないので、ぜひ朝のうちに出かけて下さいね。

KAWAMOTO STORE
784 Kilauea Ave, Hilo, BIG ISLAND

HILO LUNCH SHOP
421 Kalanikoa St # 101, Hilo, BIG ISLAND

筆者プロフィール

NOPU

ハワイは２０年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU：http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/