アローハ!

この数年の間にイオラニ宮殿内の各部屋のデザインを描いていました。

イオラニ宮殿のドーセント(ガイド)を始めて11年目に入りました。ガイドさせていただくたびに、内装をじっと観察していました。その成果の1枚を今日はご紹介いたしましょう。

イオラニ宮殿

イオラニ宮殿

裏の部分に当たる入り口からツアーは始まります。12月末のカピオラニ王妃のお誕生日の夜のツアー時のみ、王族が使ったという表の入り口からツアーを始めることができます。ツアーの始まりは宮殿の大広間から始まります。イオラニ宮殿の2階に通じるオリジナルのコア材が踏み板の見応えのある階段がメインにある大広間です。宮殿の床はダグラスファーという木材が張られています。ガラス窓はイギリスで作られたガラスにサンフランシスコでエッチングされたデザインが施されています。表も裏のガラスにも素敵な花瓶と花が描かれています。そして王座の間や青の間に通じるドアの蝶番は素敵なデザインが施されています。そのデザインをキルトのデザインに描いてみたいと思っていました。

大広間メインのコア材の踏み板で作られた階段

大広間メインのコア材の踏み板で作られた階段

ガラスには素敵な花瓶が描かれています

ガラスには素敵な花瓶が描かれています

素敵なデザインの蝶番

素敵なデザインの蝶番

高い天井やクラウン(廻り縁)にはたくさんのデザインが施されています。ハワイ王国がなくなってしまうとイオラニ宮殿は政治の中心地になってしまいました。その時にペンキであちらこちらを塗られてしまい、ひどい姿に変わってしまったと言われています。1969年にハワイ州庁舎が完成してから、イオラニ宮殿の復興が始まりましたが、その時には何層にも塗られていたペンキを少しずつ剥がし、一番下にある色を探し出し、オリジナルの色にすべて塗り替えられえたそうです。そんな少しずつ、時間のかかる地味な作業を重ね、今のイオラニ宮殿があることになります。

天井のクラウン(廻り縁)のデザインはコアの階段を登ると近くに見えます

天井のクラウン(廻り縁)のデザインはコアの階段を登ると近くに見えます

このような要素を取り入れたのが、王広間のハワイアンキルトのデザインになります。飾りキルトを個人のセンスになりますが、このハワイアンキルトはイオラニ宮殿のデザインを忠実に表現しています。私はここまで細かく忠実にキルトラインを出すことはできませんが、このように素晴らしいキルトラインを見ると感動します。

先日の横浜みなとみらいのギャラリーで初めて見させてもらいましたが、実物はもっと素晴らしい出来でした。キルトラインを見ると作り手の気持ちが伝わります。そしてイオラニ宮殿を愛し、ハワイアンキルトを愛している作り手の気持ちがストレートに伝わります。みなさんにもこんな風にハワイアンキルトを作っていただきたいと思います。作り手のご本人もこのキルトは大変だったけど、作ってて楽しかったと言ってくださいました。

イオラニ宮殿の大広間キルト Quilted by Sawako Igarashi

イオラニ宮殿の大広間キルト Quilted by Sawako Igarashi

キルトのクローズアップ部分2 Quilted by Sawako Igarashi

キルトのクローズアップ部分2 Quilted by Sawako Igarashi

キルトのクローズアップ部分 Quilted by Sawako Igarashi

キルトのクローズアップ部分 Quilted by Sawako Igarashi

テーマがあって描くデザインはすいすいと描くことができます。長いこと毎週観察していた場所だと描きたいことが山ほどあり、その中から抜粋するのも大変な作業でした。他の部屋のキルトのデザインもありますので、追ってお伝えしていきたいと思います。

アン

イオラニ宮殿

日本語ツアーは毎週水曜日、木曜日の午後3時半から

https://www.iolanipalace.org/visit/tours-admission/guided-tours/

ロイヤルコネクションと日本ツアー(日本語)

水曜日の午後1時15分から

https://www.iolanipalace.org/visit/tours-admission/hawaii-royal-connection-japan/

**私のウェブサイト、ネットショップはただいま改装中です。3月1日には新しいページをお伝えできると思いますので、あと少しお待ちくださいませ。

筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。

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