コジュケイが「チョットコイ」と林の中から呼んでいます、春ですね。 愛鳥週間がある5月は、ハワイ日和でもハワイに住む鳥について紹介しています。
ところで、ハワイに住む鳥たちの多くは、人間が連れて来た外来種です。今回はコジュケイと同じ、キジの仲間の外来種の鳥たちを紹介しましょう。

ミヤマハッカン

ミヤマハッカンは、ヒマラヤからインドシナ半島にかけてのアジア地域に生息する鳥です。ハワイに移入されたのは1962年、ハワイに住む多くのキジ科の外来種と同様に、狩猟を目的に放鳥されました。放鳥されたのは、ハワイ島の北西にあるプウ・ワアワアでしたが、ミヤマハッカンはマウナ・ロアやマウナ・ケアの山麓、ボルケーノ地域などハワイの森で増えています。ハワイではハワイ島以外では生息していないそうです。
体長は70cmほどで、オスの方がメスよりもやや大きめ。オスは濃紺と黒の羽、メスは茶系のシマシマに見える羽で、頭にぴょんと冠羽がありアイマスクのように目の周りが赤い事が特徴です。植物の種子や昆虫、果実などを食べています。アジアでは一夫一婦制で繁殖しているそうですが、ハワイではグループで行動している様子をよく見かけます。

ミヤマハッカン(雄)

ミヤマハッカン(雄)

さて、だいぶ以前にミヤマハッカンをネネだと思って「あそこにハワイの州鳥がいるわ」と教えて下さり、その後「違う違う、あれはネネじゃない」と、わざわざ訂正しに戻って来て下さった、メインランドからの 観光客の方の話を紹介したことがあります。
この方に限らず、ミヤマハッカンをネネだと勘違いしている人は、わりと多いようです。見比べるとだいぶ違うことが分かるのですが、私自身もハワイで見かけた鳥を「ハワイ固有の珍しい鳥かも」と言うバイアスをかけて見てしまうことは、よくあります。

こちらはハワイの州鳥、ネネ。ミヤマハッカンの雌と羽の色が似ているかな?

こちらはハワイの州鳥、ネネ。ミヤマハッカンの雌と羽の色が似ているかな?

ネネとミヤマハッカンの全く違う点は「足」です。カモ科のネネは水掻きがある足で、ミヤマハッカンはニワトリのような足を持っています。ミヤマハッカンは、ボルケーノ国立公園やその周辺でよく見る鳥なのも、ネネと見誤る要因の一つかもしれません。
しかも、狩猟目的で放鳥されたと言うのに、ボルケーノ周辺にいるミヤマハッカンはだいぶ人馴れしているようで、かなり近くで観察できます。なかには「エサをくれるかも」と寄ってくるグループもいます、ううむ。

民家の軒先に来たミヤマハッカンの群れ。羽がシマシマに見える方が雌です

民家の軒先に来たミヤマハッカンの群れ。羽がシマシマに見える方が雌です

イワシャコ

トルコから中国までユーラシア大陸の中部全般に生息するイワシャコも、20世紀前半に狩猟のためにハワイで放たれた鳥です。ハワイの主要6島に生息し、主に標高の高い地域に多く住んでいます。もともとの生息地のユーラシア大陸でも、山岳地帯の高所に多い鳥のようです。
体長は35cmほどで、前述のミヤマハッカンと比べると、小さめで可愛い印象を受けます。グレーと薄い茶色のシックな羽も、ピンクのアイリングとクチバシも可愛い。臆病で警戒心が強い鳥です。

イワシャコ

イワシャコ

私がイワシャコを見たのは、ハワイ島のサドル・ロードとマウイ島のハレアカラ山頂付近でした。ハレアカラ山頂では大勢の人がいるにもかかわらず、砂地をてくてく歩いているイワシャコに注目する人はあまりいません。
バードウォッチをしているとよく思うのですが、鳥たちは人間にじっと見られることがキライなようです。ハレアカラで目撃したイワシャコも「なんで見てるの」と、ビクビクし始めたので「見てないよー、あっちを眺めてるのよー」と、ヨコメで観察しながら、素早く写真を撮りました。ビクビクしているところも、なんだか可愛いイワシャコです。

イワシャコはシックな羽の色がきれいです

イワシャコはシックな羽の色がきれいです

シマシャコ

シマシャコは20世紀半ばに、狩猟用としてインドから導入されました。体長は30cmほどで、雌雄の差はあまりありません。マウイ島、モロカイ島、ハワイ島に生息し、オアフ島の一部地域にもいるそうです。
英語で「フランコリン」と呼ばれるシャコの仲間は、ハワイでよく見かける外来種です。ハワイ島のマウナロア・ロードをドライブしていると、道路を歩くムナグロシャコやクロガオシャコをよく見ました。でも、シャコたちは一瞬で草むらに入ってしまうことが多く、写真を撮るチャンスがなかなかありません。
ところが、マウイ島のビーチでのんびりしていた時、背後の草むらからシマシャコがガサゴソと出て来ました。始め、ちょっと大きくなったヒヨコ(つまり若いニワトリ)かと思ったくらい、人馴れしている様子のシマシャコたちは、写真をバチバチ撮っても、あまり気にしている様子はありません。シマシャコは、ゴルフ場などでもよく目撃されるそうです。

ビーチにいたシマシャコ

ビーチにいたシマシャコ

コウライキジ

キジは狩猟用としてアジアから世界中に放鳥されましたが、ハワイにも19世紀半ばに持ち込まれました。日本のキジにはない首の白い輪が、コウライキジの雄にはありますが、雌や幼鳥はほとんど区別がつかないそうです。長い尾羽がパニオロ(ハワイのカウボーイ)に人気で、帽子の飾りによく使われています。
ハワイでハイキングをしていると、日本でも聞いたことがある鳥の声を耳にする事があります。ウグイスとメジロ、それにキジです。特にウグイスやキジの鳴き声はよく響くので、日本の里山を歩いているような気分になります。
写真は、マウイ島のハレアカラ山を悠然と歩いていたキジです。キジはいつも堂々としているような気がします。

コウライキジ(雄)

コウライキジ(雄)

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筆者プロフィール

NOPU
NOPU
ハワイは20年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU:http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/