2024年になりました、今年もよろしくお願いします。さて今年は辰年、イヤー・オブ・ザ・ドラゴンですね。ハワイには、モオというオオトカゲの伝説が、各地に残っています。このオオトカゲは、英語では「ドラゴン」と訳されることもあるので、ここは大きな意味で「辰」ということにして、新年最初のハワイ日和は、モオの伝説と伝説の舞台となった場所についてご紹介したいと思います。

レインボー・フォールズ(ハワイ島)

ハワイ島ヒロ、ワイルク川にあるレインボー・フォールズは、観光名所としても有名な滝です。このレインボー・フォールズの裏側には、大きな洞窟があります。この洞窟には、女神ヒナが住んでいました。そして、レインボー・フォールズの上流には、クナという名前のモオが住んでいたのです。
クナは度々、下流に住むヒナに嫌がらせをしていましたが、ある日、大きな岩を流して川を堰き止め、ヒナの洞窟を水没させようとしました。ヒナは息子のマウイに助けを求め、マウイはマウイ島からカヌーでやってきて、クナの住処の川に溶岩を流し込んで退治しました。
溶岩で水が煮えたぎったクナの住処は、今もボイリング・ポット(煮えたぎる鍋)という名前で呼ばれています。レインボー・フォールズの下流、ワイルク川の河口にある岩は、その時にマウイが乗り捨てたカヌーだと言う事です。

ヒナが住んでいたレインボー・フォールズ

ヒナが住んでいたレインボー・フォールズ

ヒロはハワイ島の東側にあるからか、朝の散歩がとても気持ちがいい町です。レインボー・フォールズが、名前のように滝に虹がかかって見えるのも午前中。晴れた朝は虹の滝を見るチャンスですね。
ワイルク川の河口付近は、ヒロのダウンタウンからも近く、散策にはよい場所です。川にかかる橋からは、マウイが乗り捨てたカヌー岩も見る事ができます。このカヌーは魔法のカヌーで、マウイはマウイ島からわずか2回漕いだだけで、ここまでやってきたそうです。
クナが住んでいたボイリング・ポットは、川遊び中に事故にあう人が多い、危険な場所として知られています。なにしろモオが住んでいた場所ですしね。

ワイルク川河口にあるマウイのカヌー岩

ワイルク川河口にあるマウイのカヌー岩

 

モロキニ島とプウ・オライ(マウイ島)

ハワイの伝説では、モオはしばしば美しい女性に姿を変えて登場します。
モオはあるハンサムな男性に恋をしました。ところがモオだけではなく、炎の女神ペレもこの男性に恋をしていたのです。ライバルに怒ったペレは、モオを真っ二つに引き裂いてしまいました。引き裂かれたモオの身体の半分は、マウイ島とカホラヴェ島の間にある小さな島、モロキニ島になり、もう半分はマウイ島の海岸線にあるプウ・オライという小山になったそうです。

マルアカ・ビーチから見るプウ・オライ(左)とモロキニ島(右)。遠くに見える大きな島はカホラヴェ島

マルアカ・ビーチから見るプウ・オライ(左)とモロキニ島(右)。遠くに見える大きな島はカホラヴェ島

モロキニ島は、マウイ島の南西にある小さな島です。シュノーケルに良いポイントとして知られていて、船で行くシュノーケル・ツアーが人気になっています。かなり以前ですが、私もモロキニ島の内海でシュノーケルをしたことがあります。Cの字の形をしたモロキニ島の内側は、波も穏やかでたくさんの魚を見る事ができました。
モオの身体の残り半分であった、と言われるプウ・オライはマウイ島の南西にある噴石丘です。レッド・ヒルと言う通称を持つプウ・オライでトレッキングするのもいいですが、近くにあるマケナ・ビーチ(通称ビッグ・ビーチ)やマルアカ・ビーチで、のんびりするのもいいですね。
ハレアカラ山の中腹にあるウルパラクアの町の近くからは、モロキニ島とプウ・オライを眼下に眺める事ができます。夕日に輝く海に、シルエットで浮かび上がるモロキニ島はとてもきれいです。

ウルパラクア近くから見た夕方のモロキニ島。右端に見えるシルエットがプウ・オライ

ウルパラクア近くから見た夕方のモロキニ島。右端に見えるシルエットがプウ・オライ

 

潮噴き穴(カウアイ島)

カウアイ島の南には、美しい海岸線が続いています。かつて、ここにはカイカプという名前の、巨大なモオが住んでいました。カイカプは海岸に来る者を捕食していたので、人々から恐れられていました。
ある時、リコという若者が、カイカプ退治に挑みました。リコはカイカプに長い槍を突き刺す事に成功し、そのまま海の中を泳いで、溶岩洞窟に開いた小さな穴から脱出します。怒り狂ったカイカプがリコの後を追いますが、洞窟の穴に槍がつかえて閉じ込められてしまいました。
今でも潮噴き穴からは、カイカプの苦しみと怒りの咆哮が聞こえ、その息が間欠泉のように噴き出してくるのが見えるということです。

ポイプ地区の潮噴き穴

ポイプ地区の潮噴き穴

ポイプ地区は、カウアイ島を代表するリゾート地区として知られています。雨が多いと言われるカウアイ島でも、島の南岸に面するポイプ地区は晴天率が高いのも人気の理由でしょう。潮噴き穴があるのは、そのポイプ地区の西端です。お土産屋さんが並ぶ小さな公園は、なんとなく日本の観光名所の雰囲気に似ています。柵越しに見える潮噴き穴からは、モオの呻き声のような波音と共に、潮が噴き上がる様子を見る事ができます。
今でも、かなり高く潮が噴き上がっているように見えますが、以前は60mほども噴き上がっていた潮噴き穴があったそうです。そのため周囲の畑に塩害が及び、ダイナマイトで爆破されてしまったそう。現存していたらカウアイ島観光の中心地になっていたでしょうね、もったいないことです。

高く噴きあがる潮

高く噴きあがる潮

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筆者プロフィール

NOPU
NOPU
ハワイは20年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU:http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/