暑中お見舞い申し上げます。年々、暑さが増すような気がしますが、みなさま如何お過ごしでしょうか。ハワイは常夏と言われていますが、年間を通しての温度差があまりなく、全般的に湿度も低めなので、日本の夏に比べてはるかに過ごしやすいです。この時期は、いつも以上に「ハワイに行きたい・・」と感じますね。
さて、今月のハワイ日和は、先月に続きハワイの天気について考察してみました。今回は、猛暑に合わせて「残酷な太陽」という意味の地名がある、マウイ島の天気です。前回同様、個人の経験による私見が含まれることをご了承くださいませ。

マウイ島へ行く機内から見た虹

マウイ島へ行く機内から見た虹

2つの島がくっついて出来た独特な形のマウイ島は、天気もユニークな点があります。先月号でもお話ししましたが、ハワイ諸島では北東から南西へと貿易風が吹き抜けるため、湿った風の当たる島の東側では雨が多く、島の西側は乾燥している事がほとんどです。マウイ島も大まかに言うと、東側が雨、西側が晴れ、の天気が当てはまります。ユニークなのは、イアオ渓谷のある西マウイとハレアカラ山のある東マウイの間、2つの島がくっついた谷間部分を貿易風が吹き抜ける事で、マウイ島には強い風が吹くということです。
この谷間部分にあるカフルイ空港は「アメリカ合衆国内で最も風が強い空港である」との話も聞きます。カフルイ空港に向かう飛行機に乗っている時、何度か「この飛行機、すごく揺れている」と思ったことがありますが、この風に慣れているハワイのパイロットのみなさんは、いつも難なく着陸されています。

マアラエアに立つ風車

マアラエアに立つ風車

強い風の話を、もう少ししましょう。マウイ島の2つの島の接合部分を吹き抜ける風は、その出口に当たる南側のマアラエアに強風をもたらします。近年、マアラエア近くにある山の斜面に、風力発電のための風車が建てられました。ハワイ諸島は電気料金がとても高い(全米1位だそう!)ので、マウイ島の強い風を利用した風力発電はとても重要でしょう。
また、東マウイの北側にあるパイア近辺のビーチも、風が強いことで有名です。パイアの近くにあるホオキパ・ビーチは、ウインド・サーフィンのメッカとして世界的に知られていますが、夕方になると、風と波を求めて、ホオキパ・ビーチへと向かっている多くのウインド・サーファーたちを見かけます。そう、マウイ島では、概ね午後に風が強くなるようです。シュノーケルなどは、風の影響が少ない午前中がいいかもしれませんね。

ホオキパ・ビーチのウインド・サーファー。カイト・サーフィンをする人も多い

ホオキパ・ビーチのウインド・サーファー。カイト・サーフィンをする人も多い

マウイ島のリゾート地区は、貿易風の影響で雨が少ない西側の海岸線に沿って集まっています。西マウイにあるカパルアやカアナパリ、東マウイの西海岸にあるキヘイやワイレアなどの地区です。ハレアカラ山がある東マウイの方が天気の差がはっきり現れるようで、西マウイのカパルアやカアナパリよりも、東マウイのキヘイやワイレアの方がより乾いている印象を受けます。
雨が多いのは、ハレアカラ山の北東にあるハナやハナ・ハイウェイに点在する小さな町々です。ハナ・ハイウェイは、崖に沿った狭く曲がりくねった道ですが、豪雨の後などに落石や川の氾濫などで、通行止めになったとのニュースを時々聞きます。

いつも曇っている印象があるハナ

いつも曇っている印象があるハナ

強い風の影響なのか、マウイ島は他の島よりも近距離でも天気の違いがあるように思います。空港のあるカフルイと郡庁所在地のあるワイルクは、隣り合った町です。カフルイが天気でもワイルクまで行くと、なんだか空がどんよりしてきます。ワイルクを抜け、更に進んでイアオ渓谷まで行くと「晴れたことはあるのか?」と思ってしまうほど、いつも重い雲が渓谷を覆っています。イアオ渓谷は世界でも雨量が多い場所の一つだそうです。午前中の方が比較的天気が良いので、イアオ渓谷に行くときは早い時間がオススメですね。

ワイルアから雲に覆われたイアオ渓谷方面を見る

ワイルアから雲に覆われたイアオ渓谷方面を見る

西マウイの海岸沿いにあるカパルアとラハイナは、車で15分くらいの近距離にある町です。この2つの町の違いは天気、というより体感温度でしょう。カパルアでは心地よい風がいつも吹いていて、晴天でも日陰に入れば涼しい、という印象があります。
それに対してラハイナは、いつもジリジリ暑い感じ。「ラハイナ」という町の名前は「残酷な太陽」という意味です。名前の通り、昼間にラハイナを散策していると、暑くてクラクラしてくることも。ラハイナが暑いのは、貿易風の死角になっていて風が通りにくいからだそう。ラハイナを観光するときは、まだ涼しい早朝か、残酷な太陽が海に沈んだ夕方がオススメです。

ラハイナの強い日差しを遮るバニヤン樹

ラハイナの強い日差しを遮るバニヤン樹

最後にハレアカラ山頂の天気についてです。ハレアカラ山は標高3055m。その山頂までレンタカーでも行くことができるので、多くの観光客にとってハレアカラ山頂で日の出を見ることは、マウイ観光のハイライトにもなっています。でも夜中に起きてハレアカラ山頂まで登ってきたのに、お天気が悪かったらがっかりですよね。安心してください、標高3000mを超えるハレアカラ山頂は、ほとんどいつも雲の上です。日の出前のハレアカラ山頂は、とてもとても寒いですが、雲海から太陽が昇るとふんわり暖かくなってきます。毎回「太陽ってすごいなあ」と思います。

ハレアカラ山頂で見る日の出

ハレアカラ山頂で見る日の出

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筆者プロフィール

NOPU
NOPU
ハワイは20年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU:http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/