5月は、鳥をよく見かける季節です。近頃よくその声を聞くのは、ガビチョウ。ガビチョウの大きなよく通る鳴き声は、ハワイでもよく聞きます。日本でもハワイでもガビチョウは、中国から持ち込まれて飼育されていたものが、逃げて野生化した外来種の鳥です。ハワイの気候が大好きなのは、人間だけではなく鳥も同じらしく、ハワイではガビチョウのような外来種の鳥がたくさんいます。愛鳥週間のある今月のハワイ日和は、ハワイにいる外来種の鳥をご紹介します。

インドハッカ

ハワイでよく見かけるインドハッカ

ハワイでよく見かけるインドハッカ

「ハワイでよく見かける鳥・ベスト3」に入るのでは、と思うのがインドハッカです。「今回のハワイ旅行で一番初めに見る鳥は何かな」と、空港から出たその瞬間に、インドハッカが目の前をぴょんぴょん横切った、という事もよくあります。インドハッカはカバイロハッカとも呼ばれる、南アジアを中心に生息する鳥です。英語ではコモン・マイナやインディアン・マイナという名前ですが、ハワイでは主にマイナ・バードと呼ばれています。繁殖力が強く、ハワイに限らず世界の各地で、生態系や農業などにも脅威となっているそうです。ハワイには19世紀半ばに、害虫駆除の目的でインドから運ばれました。市街地の公園やビーチなどで見かけることが多い鳥です。

インドハッカはちょっとコワモテ

インドハッカはちょっとコワモテ

インドハッカはムクドリ科の鳥です。つがいやグループで行動するところ、鳴き声がうるさいところなど、ムクドリによく似ています。でもよく見ると、ムクドリよりもコワモテですね。20年以上前、初めてカウアイ島に行った時に、礫死したインドハッカを道路でたくさん見ました。インドハッカは、車がすぐ近くまで来ても逃げない、逃げてもなんだかのろい、と交通事故にあう事が多いようでした。当時のカウアイ島は、交通量がとても少なく、道路でぴょんぴょんスキップするように歩いているインドハッカをよく見かけたものです。その後、カウアイ島は大渋滞が発生するほど交通量が増えましたが、昔ほど交通事故にあったインドハッカを見かけない気がします。インドハッカが車社会に適応したのか、もう道路では遊べないほど車が増えたのか、どちらでしょうね。

メジロ

ハワイのメジロ

ハワイのメジロ

メジロもハワイでよく見かける鳥です。100年ほど前に、日本から移民してきた人々が飼育していたメジロが野生化したとも、害虫駆除のため放されたとも言われています。メジロは市街地でも見かけますが、ハワイの森でもよく見る鳥です。メジロは花のミツが好物なので、ハワイ固有種のミツスイたちに混じって、レフアなどのミツを吸っている様子を、頻繁に見かけます。「あ、ミツスイ!」と思ったらメジロだった、という事は本当によくあるので、バードウォッチをしている時にはメジロはちょっと迷惑な鳥です。メジロが悪いわけじゃないんですけどね。

メジロは果物も大好き。パパイヤを食べるメジロ

メジロは果物も大好き。パパイヤを食べるメジロ

メジロが悪いわけではないのかもしれませんが、固有種のミツスイは年々、見つけ難くくなっているのに、メジロは益々よく見つけるような気がします。低地では生息できないハワイ固有種の鳥たちとは違い、低地でも、そして標高の高い山地でも、どんどん増えているメジロは、ハワイ固有種の脅威になっているのかもしれません。また、メジロは果物も好きなので、ハワイの果物農家にとっても脅威になっているようです。「メジロがマンゴーをどんどん食べちゃう」と、農業をしている知人が嘆いていましたが、ハワイではメジロはもう害鳥なのかも。

キンノジコ

左は外来種のメキシコマシコ、右はハワイ固有種のアパパネ

左は外来種のメキシコマシコ、右はハワイ固有種のアパパネ

バードウォッチをしていて「あ、ミツスイ!」と思ったら外来種の鳥だった、という事は、メジロ以外にもよくあります。例えば、赤い羽のカーディナルやメキシコマシコは、よくハワイ固有種のアパパネやイイヴィと見間違えがちです。アパパネやイイヴィは「暑い!」と感じる低地には、まずいないので、市街地やビーチで赤い鳥を見かけたら、カーディナルかメキシコマシコかな、と思った方がいいでしょう。そして、黄色い羽のハワイ固有種の鳥、アマキヒやパリラかと思ったら、外来種のキンノジコだった、という事もかなりよくあります。なんといっても、ハワイ固有種は低地にはいないのに、多くの外来種は標高の高い山や森でも見かけるのが悩ましいところです。

キンノジコの群れ

キンノジコの群れ

とはいえ「ミツスイかと思ったらメジロだった・・」という時の落胆に比べ、「ミツスイかと思ったらキンノジコかあ」という時は、それほどがっかりしません(個人的な意見です)。キンノジコはメジロと違って、日本にはいない鳥だからでしょうか。キンノジコは、20世紀半ばに南米から持ち込まれた鳥です。ハワイでは主にハワイ島に生息していて、ハワイ島の市街地や海岸、標高の高い牧草地やボルケーノ国立公園内でも見かけたことがあります。英語名のサフラン・フィンチという名前の通り、鮮やかな黄色い羽がきれいな鳥です。ぱっちりした黒い目と、顔の辺りだけミカン色の羽なところもカワイイ(あくまで個人的な意見)。だからキンノジコを見つけてもがっかりはしないのかな。

鮮やかな羽のキンノジコ

鮮やかな羽のキンノジコ

さて、日本ではウグイスの声も、よく聞く季節ですね。ハワイの山をハイキングしていると、ウグイスの鳴き声を聞くことがあります。冒頭でご紹介したガビチョウのように、日本から持ち込まれたウグイスが野生化した籠抜け鳥です。ハワイのウグイスは、日本のウグイスのように「ホー、ホケキョ」ではなく「ホー、ピッピ」と、鳴き方が単調である、という研究が発表されています。ぜひハワイで確かめたいものです。

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筆者プロフィール

NOPU
NOPU
ハワイは20年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU:http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/