アローハ!

アメリカ本土も夏休みに入り、ハワイにはたくさんの家族連れの観光客の方々が増えています。7月1日からは2階建ての飛行機も日本からホノルルに就航するようになり、トロリーバスなども増え、コロナ前のハワイに戻りつつあります。今日は先日ダウンタウン・アート・センターで開催されていた「ファイバー・ハワイ」展をご紹介したいと思います。

ファイバー・ハワイは今年40周年を迎えました

ファイバー・ハワイは今年40周年を迎えました

まず、ホノルルのダウンタウンにこのような素敵なギャラリーがあること知りませんでした。ずいぶん前によく行っていたアフタヌーンティ「Tea at 1024」というお店のすぐ向かいにありました。20数年前にハワイ・キルト・ギルドというキルティングのグループの会合に一度お邪魔したことがあるのですが、その時はそれ一度だけだったのですが、今年になってこの団体に参加することにし、毎月1回、ミーティングに行き始めました。その会のプレジデントが私のキルトミシンをやってくださる人だったということもあり、ちょっと興味が出たわけです。そのグループは年に一度、キルト展を開催しています。2023年度のキルト展はこのダウンタウン・アート・ギャラリーで開催予定だそうで、場所を見ておいた方がいいと勧められたのもあり行って来ました。こちらのアート展は6月30日までやっていましたが、今はすでに終了しています。

隔年に開催されるこのアート展も今年で40周年ということで歴史あるアート展でした。今まで一度も行ったことがなかったので知りませんでした。元々はハワイ大学でアートを続けていた女性と、当時すでにハワイアン・クラフツマンという集まりでコンテンポラリーのハワイアートを紹介していた女性の二人がこのファイバー・ハワイを作り上げたとのことです。ファブリック(生地)を使ったものだけに拘らない、ハワイの要素をたくさん取り入れたコンテンポラリーのファブリックやテキスタイルのアートを推進するという斬新なアート展を始めたということです。それから40年、ハワイのアーティストの作品を飾り、発表してきたわけです。今年はその節目の年として色々な素晴らしいアーティストの作品が展示されていました。

オーガンジーのような生地を何種類もパッチワークのようにつなぎ合わせたフワッとして壁掛け

オーガンジーのような生地を何種類もパッチワークのようにつなぎ合わせたフワッとして壁掛け

私が作るハワイアンキルト はコットン100%の生地のみを使用するので、ここで使われている絹やポリエステル、麻、オーガンジー、その他色々な生地の作品を見るのはとても新鮮でした。ただ、どうしても手の込んだ手縫いのものをじっくり見てしまいます。アート展ですからアーティストがどのような哲学でどのような気持ちを込めて作ったのか、分析するのもいいのかもしれませんが、私は自分のお気に入りの作品を決めて、なんでそれに心を引かれるかを考えながら見るのも一つの方法だと考えます。また、ここには抽象的なアートが多かったようにも思えます。私が気に入った一つの作品は藍色のインディゴを何枚も何色も重ねて作られていたタペストリーです。色味がとにかく色々と融合されているのと、色の統一性があったのが、私の中ではとても好きな作品になりました。そうなるとその手法をゆっくり見るようになり、何回も止まってはゆっくり見るということを繰り返しました。作品はDarius Homayounpourさんのインディゴラグと書いてありました。どうも古着のインディゴ(藍染めの生地)をつなぎ合わせて作られたようです。私も数年前、京都の東寺の縁日に行きました。たくさんの着物の古着も売っていたのですが、私が購入したのはまさに藍染の古生地でした。これでパッチワークを作ってみようと思っていたのですが、まだ実現はしていません。好みが同じ人のアートだったのですね。自分との共通点を見つけるのも楽しいかもしれませんね。

藍染の古着を繋ぎ合わせて作られたタペストリー。作者:Darius Homayounpour

藍染の古着を繋ぎ合わせて作られたタペストリー。作者:Darius Homayounpour

パッチワークキルトの展示もありました。こちらはLynn HiyakumotoさんのAPEC Bloosomという作品でした。ピースを繋げるのもミシン縫い。そして私のミシンキルターのバーバラさんがミシンキルティングを施した作品です。ハワイ・キルト・ギルドの会員の方であるマーガレット・てるやさんはキルト・ギルド賞を受賞されていました。こちらの作品名はウンブラ。インディゴの色々な種類の生地をやはりミシンで重ね、タペストリーにしていました。数種類の生地を使って色々な創造をし、一つの作品にしていくというはどれだけ構想を練ったりするのでしょう。アートというのは未知の世界であり、終わりのない世界だということを再認識しました。ハワイアンキルトやパッチワークの世界だけではなく、このような作品展を見ることも目を養うことには必要なのだと痛感しました。

ミシンキルトのAPEC。Pieced by Lynn Hiyakumoto, Quilted by Barbara Rubio

ミシンキルトのAPEC。Pieced by Lynn Hiyakumoto, Quilted by Barbara Rubio

キルト・ギルド賞を受賞された作品。「Umbra,」Made by Margaret Teruya

キルト・ギルド賞を受賞された作品。「Umbra,」Made by Margaret Teruya

会場には他のパッチワークキルトを始め、毛糸で作られた作品、ラウハラを使って作られた花、民族衣装、置物、花瓶など、とにかくあるとあらゆる物がたくさん飾られていました。ハワイアンキルトが一枚もなかったのは少し寂しかったですが、このようなコンテンポラリーアートの作品を作るアーティストがハワイにはたくさんいらっしゃることがちょっと嬉しかったですね。次の開催は2024年だそうですが、また次回も是非行ってみたいと思いました。

入場は無料です。ハワイにいながらハワイではないようなアートに触れることができるのは素敵な時間でした。皆様もハワイでこのようなアートに出会えることがあれば、ぜひ体験してくださいね。

アン

パッチワークキルト

パッチワークキルト

パッチワークキルト

パッチワークキルト

ラウハラで作られた花

ラウハラで作られた花

民族衣装

民族衣装

毛糸で作られた植物

毛糸で作られた植物

他の作品の数々

他の作品の数々

 

Downtown Art Center

1041 Nu’uanu Ave. 2nd floor

Honolulu HI  96813

Website:  https://www.hawaiicraftsmen.org/page-1853317

 

筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。

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