2015年に引き続きコロラド州から、ハワイ島に出張でいらしたハリエット・ハーグレイブ先生のミシンキルトのレッスンに参加することができました。ハリエット先生はミシンキルトの先駆者であり、たくさんの本も出版されています。去年はミシンでのキルティングのレッスンでしたが、今年はミシンキルト・ピーシング1年生、そしてミシン・アップリケキルトの2日間のレッスンを受講しました。

ハリエット先生のミシンキルト・レッスン

ハリエット先生のミシンキルト・レッスン

レッスンはアヌエヌエ・キルターズを毎週開催している、アナランチで開催されました。前にも説明しましたが、ミシンピーシングには1/4インチの縫い代を必ず使います。その縫い代を含めたピースを予め定規で測り、印を付けるのではなく、カッティングボードの上でロータリーカッターを使い、生地をきっちりカットします。ハリエット先生が使われている定規のブランドは、クリエイティブ・グリッドといいます。オムニグリッドやイージー・ルールなどがありますが、定規のブランド毎に少しづつサイズが違うのです。信じられない事ですが、0.0数ミリの違いがそれぞれの定規にはあるので、使うなら、色々な種類があっても同じブランドで統一するということがまず1つめのポイントだそうです。先生が使っているクリエイティブ・グリッドはサイズも色々あり、初心者へのお勧めは幅2.5インチ幅の小さめの定規です。定規を持つ手(私の場合利き手ではない左手)の1本の指は定規の外側に置くと、定規が動かないように固定しやすいということです。また、ロータリーカッターの刃の大きさが直径2.8cmのものがコントロールしやすく、ベストとのことでした。たくさんの道具がありますが、やはり先生がお勧めしてくれる道具は意味があり大切ですね。

カッティングが終わると、ミシン専用の1/4インチのフットを使い、ミシンでピースを縫っていくというのが、ミシンピーシングです。1枚づつ繋げるということではなく、多くは長いストリップ(生地)を作り、それを縫ったあとに、サイズに沿ってカットしていくというピーシングが主流です。一回のミシンで何枚もピーシングできるのが、ミシンキルトの大きな特徴の一つです。
ミシンに付いているパネル定規の性質をよく知り、それを頼りに縫っていかないといけないので、自分のミシンとじっくりと向かい合うという作業が必要になります。

そして裏の縫い代をどうやって倒してアイロンしていくかにもルールがあり、通常濃い色の生地の方向に倒していくというのがルールの一つとなります。生地も裂くのが一番良い方法で(あくまでもコットン100%の場合)、生地の方向に沿い、縫い目にまっすぐにカットし、そこからがきちんとした縫い目になります。また生地には思い切って、スプレー糊をかけ、生地を堅くしてからカッティングし、ミシンをかけると綺麗に縫えます。アイロン台の堅さや、アイロンの温度の設定、スプレー糊のブランドまで、細かく先生から指定されます。そうすると裏返しにした時に、綺麗に処理できます。1日目はこのようなことを事細かに教えていただきました。

長いストリップ(生地)でピーシングした後、小さいサイズにカットするピーシングで作ったもの

長いストリップ(生地)でピーシングした後、小さいサイズにカットする方法で作ったピース

裏の処理が綺麗にできるように、ルールがあります

裏の処理が綺麗にできるように、ルールがあります

裏の縫い代の倒し方がこのように綺麗に決まります。4つ角は扇のように広げることがルールです

裏の縫い代の倒し方がこのように綺麗に決まります。4つ角は扇のように広げることがルールです

2日目はミシン・アップリケの方法を教えてもらいました。
ミシンでのアップリケの方法では3つの手法があります。
1つめはブランケットステッチのように、アップリケの周りにステッチを目立たせる方法、2つめは通常のステッチでアップリケする方法。そして3つめは見えないステッチでアップリケする方法があります。
私達が今回習ったのが、3つめの見えないステッチを使うアップリケです。
今回のモチーフはチューリップでした。6種類の生地を使い、アップリケのパーツ毎にカットし、アップリケするものです。
まずは型紙をフリーザーペーパーに写します。フリーザーペーパーの裏側はワックスが付いていて、生地の上に置き、アイロンをかけると、生地に接着します。アップリケの生地にパーツ毎のフリーザーペーパーをアイロンで接着させ、生地はその型紙より3/16インチ大きくカットします。それ以上だと多すぎ、それ以下だと少なすぎるので、必ず3/16インチでカットします。
そしてその3/16インチに生地用ののりを付け、型紙に沿って折ります。少しづつシワにならないように折り込みます。
チューリップの型紙をオフホワイトの下地に置き、型に沿って6種類のアップリケをのりで付けていきます。

フリーザーペーパーをアイロンした生地を3/16インチ折り代を残しカットした生地

フリーザーペーパーをアイロンした生地を3/16インチ折り代を残しカットした生地

のりを付けて、3/16インチを折ったパーツ

のりを付けて、3/16インチを折ったパーツ

下地のオフホワイトに6つのパーツをのせるとこのようになります

下地のオフホワイトに6つのパーツをのせるとこのようになります

そして上糸にナイロンを使ったミシンで、ブラインド・ヘム・ステッチを施すと上糸が見えない、ステッチの見えないアップリケができます。最後は裏地の重なった部分の生地をカットし、水をスプレーし、布を結構濡らします。そうしますと、中に入っているフリーザーペーパーが嘘のように綺麗にはがれます。水でのりが溶けるようです。とてもおもしろい方法ですが、(ハワイアンキルトのアップリケを比べると)これもありなのですね。以前ハワイアンキルトの重なった部分の裏をカットする人を見たことがありますが、これはピースワークのアップリケで行われていることだったのですね。と理解できました。
ですが、ハワイアンキルトはこのようなことは一切しませんので、違う手法として学んでおきました。

先がオープンになったアップリケフットを使い、ブラインド・ヘム・ステッチをミシンで施します

先がオープンになったアップリケフットを使い、ブラインド・ヘム・ステッチをミシンで施します

 裏はアップリケの重なった部分をカットし、中のフリーザーペーパーを取り除きます

裏はアップリケの重なった部分をカットし、中のフリーザーペーパーを取り除きます

アップリケキルトにはこのような込み入ったデザインもあります。この方法をマスターすれば、このようなデザインも作れるというサンプルを見せていただきました。
ピーシングの基礎やミシン・アップリケの基礎などを教えていただいた、中身の濃い2日間でした。来年もこのようなレッスンが受けられるのかどうかわかりませんが、去年、今年と本当に勉強できた素晴らしいレッスンでした。
最後にハリエット先生とレッスン受講者全員で記念写真撮りました。素敵な記念になりました! いつかはハリエット先生のコロラド州のお店をお邪魔したいと思っています。

アップリケキルトのサンプル1

アップリケキルトのサンプル1

アップリケキルトのサンプル2

アップリケキルトのサンプル2

ハリエット先生と受講者全員での記念写真

ハリエット先生と受講者全員での記念写真

By アン

☆3月12日(土)、13日(日)、ホノルルフェスティバルの一環、ハワイ・コンベンションセンターにてのアンのハワイアンキルトのキルト展示が決定しました! 手作りの本物のハワイアンキルトを是非間近でご覧ください! 両日、ハワイアンキルトのデモンストレーション、ワークショップなどもご用意しています!
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筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。