すでに皆さんはハワイには主要8島が存在することをご存知だと思います。以前キルトパラダイス107回8島のハワイアンキルトでも8島のクッションのご紹介をさせていただきました。その延長上ではありますが、今回のステイホームの間に、ベッドカバー、ベビーキルトに続き、ウォールハンギングのデザインを描きましたので、今日はご紹介しましょう。

ハワイ主要8島の地図

以前にホノルルフェスティバル時にご紹介させていただいたホノルルフェスティバル2018年で、8島のベッドカバー(2m角)とベビーキルト(1.3mx1mの長方形)はすでに生徒さんたちにより完成させていただいたキルトをご紹介しました。今回はまだシリーズ化していなかったウォールハンギング(90cm角)(タペストリー)のパターンを描くことにしました。このパンデミック中にハワイアンキルトの製作も進みました。そしてデザインを描くことも進みました。デザインを描くこともかなりの時間を要します。本物の植物をよく観察して、今までのデザインとは違う要素を入れて描くことを心がけて作ります。ハワイアンキルトは1/8のデザインを描いて作るので、想像力も必要になります。コンピューター上で作ると簡単かもしれませんが、味気のない、機械的な模様になってしまいます。私は必ずスケッチして、それをカットして、実際にどのような模様になるかを試しながらデザインを作ります。ハワイアンキルトのデザインは作り手の命です。アンティークキルトなど、デザインをトレースして使わせてもらえるものもありますが、それは自分で楽しむためのもの。今はSNSが当たり前になっていて、他人のデザインをいかにも自分のデザインのように使い、写真をアップしている人も多くいますが、厳密にはきちんとデザイナーの著作権のクレジットなどをいれないといけないことも知っておいていただきたいものです。

ハワイアンキルト作りの時に選ぶ色は無地の2色が伝統的に基本です。ここでご紹介する8島キルトには島の色を使っていますが、皆さんが作る時は好きな色をお選びください。ただその島の色を使うと、キルトのストーリーを語る時に大変便利です。ハワイアンキルトはハワイの伝統工芸です。ハワイの植物を知ることもハワイアンキルトを極めるためには大変重要だと思っています。また、その島の色を使うと、自然と記憶できますよね。なにせ少なくとも3ヶ月くらいは同じ色を見ながらキルトするわけですから。(笑)

カウアイ島の植物はカウアイ島のみに生息する固有種のモキハナで、島の色は紫です。花も実も緑ですが、花の色はしばらくすると薄紫になります。今では希少価値のある植物で見つけるのが大変です。また、レイを作る植物としてもよく使われます。デザインにはモキハナの実とモキハナから作るレイを描いてみました。

モキハナのウォールハンギング

ニイハウ島はロビンソンファミリーにより個人所有されている島で、人口は約170人と言われています。この島に一般人が入ることはできません。島の花は花ではなく、ププシェル=ニイハウシェルで、島の色は白です。ニイハウシェルは小さく色も豊富ですが、とても貴重で、ニイハウシェルはレイ、ネックレスやイヤリングに使われとても高価なものです。この小さいシェルをデザインましたが、デザインだけでは小さい貝が表現できないので、キルティングで表現します。

ニイハウシェルのウォールハンギング

オアフ島はハワイ州の首都で、私が住んでいるホノルルがあります。主要8島の中では3番目に大きな島です。島の花はハワイ在来種のイリマ、島の色は黄色です。イリマは海辺のそばで生息する直径3cmほどの小さい花です。その色からもアリイカラー(黄と赤)にちなみ、王族に大切にされた花です。イリマのレイには約7000枚の花びらが必要とされます。小さい花びらと細かい模様入りの葉はキルトで表現するのには難しいデザインになります。

イリマのウォールハンギング

マウイ島は2番目に大きな島です。マウイ島が入るマウイ郡にはモロカイ島、ラナイ島、カホオラヴェ島も含まれます。この辺りは冬になるとザトウクジラのメッカになります。また、東海岸に秘境の地ハナもあり、3番目に高いハレアカラ山など自然も多く見られます。島の花は外来種の八重のピンクのロケラニ・ローズ、島の色もピンクです。ロケラニローズのデザインは私のデザインした中でもお気に入りの一つです。ローズの中のくり抜きがとても難しいですが、これに慣れるとくせになるデザインです。ピンクもこの10年くらいとても気に入っている色ですので、作品もピンク系が多くなってしまいます。

ロケラニローズのウォールハンギング

モロカイ島はオアフ島から一番近いので、天気のいい日はマカプウ岬から見えます。モロカイ島の花は伝統植物のククイの花、島の色は緑です。花の大きさは直径が1cmほどの小さい花の集合体となっています。ククイの木はオアフ島の至る所で見ることができるので、ぜひ花が咲いている時にその大きさをご覧ください。私もモロカイ島に1回だけ行ったことがありますが長閑な島でした。今でも後悔していることの一つに、カラウパパに行くラバツアーに参加しなかったことがあります。

ククイフラワーのウォールハンギング

ラナイ島はモロカイ島の南東に位置し、昔はパイナップル・アイランドと呼ばれ、パイナップルの栽培が盛んでしたが、今では栽培されていません。島の花はハワイ固有種のカウナオア、島の色はオレンジです。カウナオアはオレンジ色のツルのような茎を絡めて、他の植物に寄生します。花の大きさは直径が1cmほどの釣鐘のような形をしています。このデザインも花が小さいことをなかなか表現できず苦労しました。ツルが長くオレンジ色をしているので、私のデザインでは珍しくラインを細くしてみました。

カウナオアのウォールハンギング

カホオラヴェ島は主要8島の中で、一番小さく人が居住していない唯一の島です。戦争中には米軍の演習地になっていたので、今でも不発弾を撤去する作業をしています。島の花はハワイ在来種のヒナヒナ、葉には繊毛が多いため、遠くからみるとグレーに見えることから島の色はグレーです。なかなかヒナヒナの花を実際に見ることができなかったのですが、ハワイ島で見つけた時には飛び上がりました。こちらも小さい花ですが、一度見たら忘れられないですね。

ヒナヒナのウォールハンギング

ハワイ諸島の中でも最も大きいハワイ島は一番新しい島でもあります。キラウエア火山には火の女神、マダムペレも住むという神話や伝説も多くあります。ハワイ島の花はハワイ固有種のオヒア・レフアになる赤いレフア、島の色は赤です。レフアの花は針の様な花ですので、通常の花とは全然違います。ハワイ島だけではなく、オアフ島でも見ることができるので、ぜひ本物を見ていただきたいですね。針のような花を表現するのは、あまり細すぎてはハワイアンキルトのデザインには不向きです。そのバランスを取るのが大変でした。

レフアのウォールハンギング

この8枚はまだ完成していませんが、何かの機会に完成したキルトを皆さんに見ていただきたいと思っています。一人で8枚を作るのは大変だとは思いますが、これを目標に作っていただくこともゴールの一つになるかと思います。何か目的を持って、キルト作成をすると効率も大きくアップします。まだまだステイホームの時間は続きますので、色々工夫をしてみてくださいね。

 

By アン

 

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筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。