5月になり、ツバメの姿を見かけるようになりました。愛鳥週間がある今月は、ハワイ日和でもハワイの鳥をご紹介します。

ハワイ固有種の鳥、アマキヒ

ハワイ固有種の鳥、アマキヒ

今回ご紹介する鳥は、ハワイ固有種の鳥、アマキヒです。アマキヒは、アパパネやイイヴィなどと同じハワイミツスイの仲間ですが、アパパネやイイヴィほど知られていないように思います。ハワイミツスイはイイヴィのような赤い羽根の鳥、という印象が強く、黄色い羽のアマキヒはハワイミツスイのイメージとは少し違うのかもしれません。
とは言え、アマキヒの生態はアパパネやイイヴィとよく似ています。アマキヒを見る事ができるのは、標高の高いハワイの森です。花の蜜を好み、果物や小さな虫も食べます。
アマキヒとよく見間違えるのは、日本から来た外来種の鳥、メジロです。ハワイの森はメジロがとても多いうえ、メジロも花の蜜がが大好きなので、花に留まる黄緑の小鳥を「アマキヒかな?!」と思っても、メジロである事がとてもとても多いのです。
アマキヒの全長は11cmほどで、メジロとほぼ同じなのも見間違える要因の一つでしょう。でも、アマキヒの羽の色は緑がかった黄色ですが、メジロほど黄緑色ではなく、メジロのようなアイリングもありません。
ちなみに、ハワイミツスイの大きさを比較すると、
アマキヒ < アパパネ < イイヴィ
の順に大きくなります。

ハワイの森に住む外来種のメジロ

ハワイの森に住む外来種のメジロ

ハワイミツスイは環境の変化などで激減しており、アマキヒも絶滅が心配されています。しかし、アマキヒは他のハワイミツスイよりも、環境適応能力が高いのかもしれません。
ハワイミツスイが減少した原因の一つが、蚊が媒介する病気であると言われています。そのためハワイミツスイが生息するのは、蚊がいない標高が高い地域のみです。
ところが近年になって、それほど標高が高くない場所でも、一部のアマキヒが生息していることが分かりました。アマキヒは、蚊が媒介する病気に対して耐性を持ちつつあるのでは、と言われています。
アマキヒだけでなく、絶滅が危惧されるハワイミツスイたちが増えると良いのですが。

アマキヒも大好きなママネの花

アマキヒも大好きなママネの花

アマキヒはカウアイ島に生息するカウアイ・アマキヒ、オアフ島に生息するオアフ・アマキヒ、そしてハワイ島、マウイ島、モロカイ島、ラナイ島に生息するハワイ・アマキヒの3種類に分けられます。私がアマキヒを見た事があるのは、カウアイ島、マウイ島、ハワイ島ですが、オアフ島では標高が低い場所でも目撃されているそうです。
というわけで、アマキヒを見かけた体験談をお話ししましょう。

ハワイ島のハワイ・アマキヒ

ハワイ島のハワイ・アマキヒ

ハワイ島の東西を結ぶサドル・ロード沿いには、あまり知られていないトレイルがいくつもあります。標高が高くバードウォッチにもいい場所ですが、解放されていない地域もあるので注意しなくてはいけません。
実は、何年もパリラという絶滅危惧種のハワイ固有の鳥を探して、サドル・ロードをウロウロしたのですが、今だに見る事ができません。
パリラは、マメ科のママネの実を好んで食べる、と知ってママネの群生を見つけては、周囲をウロウロしていますが、ママネの木で見つけるのは専らアマキヒばかりです。アマキヒはママネの花の蜜が大好物。長い嘴をママネの花に差し込んで、上手にミツを吸っています。
パリラの羽も黄色いので「あ、パリラかも?!」と思っても、いつもアマキヒで、ちょっとがっかり。でもママネの群生は、アマキヒにたくさん会う事ができる貴重な場所です。

ママネの蜜を吸うアマキヒ(マウイ島)

ママネの蜜を吸うアマキヒ(マウイ島)

マウイ島、モロカイ島、ラナイ島に住むアマキヒは、ハワイ島のハワイ・アマキヒの亜種です。このうちラナイ島では長く目撃情報がなく、絶滅と思われています。またモロカイ島の個体数も、とても少ないそうです。
マウイ島のハレアカラ国立公園は、アマキヒに出会える良い場所です。アパパネやイイヴィを見ていると、高い枝の上からアマキヒがじっとこちらを見ていました。ハレアカラ国立公園では、かなり人に慣れたアマキヒがいたそうですが、そういえばアマキヒと私の距離が近いような気もします。
ゆるいカーブの長い嘴、黒く丸い目のアマキヒは、ハワイミツスイの中でも美人な鳥なのではないでしょうか(個人の感想です)。枝の上から美人なアマキヒに見下ろされて、なんとなくドキドキするのでした。

カウアイ島のカウアイ・アマキヒ

カウアイ島のカウアイ・アマキヒ

カウアイ島でミツスイを探すなら、コケエ州立公園を目指しましょう。以前は、コケエ・ミュージアムの周辺やプウオキラ展望台の周辺など、観光ポイントでもアパパネやアマキヒを見つけることができましたが、近年はなかなか見つける事ができません。そういうわけで、これはもう10年以上も前のことです。
その当時、コケエ州立公園のプウオキラ展望台までの道は、大きな穴がが舗装路のあちこちにあいてしまい、カララウ展望台から車の通行が禁止になっていました。でも歩くのは大丈夫。カララウ展望台からプウオキラ展望台まで、片道2km弱の道は人も少なくバードウォッチに最適でした。
頭上を飛び交うアパパネを眺めながら、のんびり歩いてプウオキラ展望台に到着すると、コアの木からカウアイ・アマキヒがこちらを見下ろしていました。カウアイ・アマキヒは生存するアマキヒの種類の中では、一番大きいそうです。やっぱり美人な感じがしますね。

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筆者プロフィール

NOPU
NOPU
ハワイは20年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU:http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/