ホスマー・グローブのママネのミツを吸うイイヴィ

ホスマー・グローブのママネのミツを吸うイイヴィ

ハワイでの過ごし方は様々ですが、我が家ではトレッキングの時間がかなり多いような気がします。ハワイの森を歩くのは、ハワイ滞在の目的の一つです。なかでも今回ご紹介するトレイルは、マウイ島に滞在する時は必ず行く場所、ホスマー・グローブの周回トレイルです。

ホスマー・グローブのキャンプ場。現在はテントの設営のルールがあります

ホスマー・グローブのキャンプ場。現在はテントの設営のルールがあります

マウイ島の象徴でもある、ハレアカラ山。マウイ島観光をして、ハレアカラ山へ行ったことがある、という方もたくさんいらっしゃるでしょう。ハレアカラ山観光をする人は、ほとんどまっすぐ山頂を目指し、まっすぐ下山してしまうようです。そのため、ホスマー・グローブを訪れる人はあまりいません。
ホスマー・グローブがあるのはハレアカラ国立公園の入り口、国立公園の入場料を支払うゲートのすぐ近くです。20世紀初頭、ハワイ初の森林管理官であったラルフ・ホスマーは、原生林の伐採によって破壊されたハワイの森林を、外来種の木々によって再生しようとしました。ホスマー・グローブは、そのための森林実験場で、マツ、スギ、ユーカリなどの外来の木々が植えられたのです。その時に植えられた木々の多くは、根付くことはありませんでしたが、繁殖してハレアカラ山の生態系に脅威を与えているものもあります。

実験林であった、ホスマー・グローブの森

実験林であった、ホスマー・グローブの森

ホスマー・グローブにはキャンプ場があります。コロナ禍以降、キャンプ場の使用制限が厳しくなりました。キャンプをするには事前予約の必要があり、その際にテントの設営場所も決めるようになっています。ハレアカラ国立公園内にはいくつかのキャンプ場がありますが、車で簡単にアクセスでき、水やトイレもあるホスマー・グローブは人気があるようです。
キャンプ場のすぐ近くには針金のフェンスがあり、入れないようになっています。このフェンスは、ハワイ在来種の植物を野生のヤギやブタから守るために設置されたものです。外来種の木々を育てるための実験場であったホスマー・グローブですが、現在は在来種保護の場となっています。ハワイ日和では『自然観察ツアーに参加しよう!』で、このフェンスの向こうにあるワイカモイ自然保護区のガイド・ツアーに参加した時の事をご紹介しましたので、ぜひご覧になって下さい。

谷を見渡す展望台

谷を見渡す展望台

さて、キャンプ場から周回トレイルへ入って行きましょう。ワイカモイ自然保護区と違い、いつでも歩く事ができるトレイルです。まずは、鬱蒼とした森の中へとトレイルは続いています。スギやマツなどの大木が多く、トレイルは薄暗い感じです。これらの木々は、ホスマーが植えた木や、その子孫なのでしょう。
しばらく進むと、谷を見渡す展望台に到着します。視界がひらけ、明るい場所です。谷を挟んだ森をよく見ていると、木々の間を飛び回る鳥が見えるかもしれません。
展望台にはパネルが設置され、この場所で見る事ができる鳥が紹介されているので、パネルを参考にハワイ固有種の鳥たちを探してみましょう。赤い羽根のアパパネやイイヴィは、比較的見つけやすいと思います。谷の向こうを渡っているアパパネに夢中になっていたら、すぐ後ろのイリアヒの茂みにイイヴィがいたこともありました。時々あたりに鳥がいないか、見回した方がいいですね。

ハワイ在来種の植物に囲まれたトレイル

ハワイ在来種の植物に囲まれたトレイル

展望台から谷を左手に進んでいくと、大きな木は少なくなりトレイルの周囲は低木の植物が多くなります。これらの低木の多くはハワイの在来種です。
赤い小さな実を付けるプキアヴェやオヘロ、ネネの大好物の黒い実をつけるクカエネネ、野いちごのような赤い実をつける可憐なアカラ。明るく開けたトレイルは、歩いていても気持ちがいい場所です。オヒアやママネに花が咲いていたら、ハワイ固有種の鳥たちがミツを吸いに来ているかもしれないので、静かに様子を伺いましょう。オヒアの赤い花、レフアに、花よりも赤いイイヴィが来ているかもしれません。
トレイルはぐるりと回って再び暗い森へと入り、キャンプ場へと戻って来ます。ホスマー・グローブの周回トレイルは、ホスマーの実験林である『外来種の森』と『低木の在来種』の二つのエリアに分かれていますが、やはり在来種のエリアの方が歩いていて気持ちがいいように思います。一周しても1kmほど、ゆっくり歩いても20分くらいのトレイルなので、前半の暗い森で戻らずに、ぜひ一周してみて下さい。

プキアヴェの赤い実

プキアヴェの赤い実

実は、ホスマー・グローブはバード・ウォッチャーに人気の場所でもあります。私は、ハワイで一番イイヴィを多く見たのは、ホスマー・グローブです。他にも、アパパネやアマキヒ、マウイ・アラウアヒオといったハワイ固有種のミツスイや、ハワイではプエオと呼ばれるフクロウを見る事ができました。春にホスマー・グローブを訪れると、巣立ったばかりのイイヴィが、まだオレンジ色が混じる羽で、一生懸命に花のミツを吸っているところをよく見かけます。
静かな森は、お散歩気分でトレイルを歩くのも、お弁当を持って来てハイキングをするのも、そして半日ミツスイを探すのにもいい場所です。ハレアカラ山を観光する時には、ホスマー・グローブに寄り道するのもいいですよ。

アカラにとまるイイヴィの幼鳥。まだオレンジ色の羽が混じっています

アカラにとまるイイヴィの幼鳥。まだオレンジ色の羽が混じっています

 

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筆者プロフィール

NOPU
NOPU
ハワイは20年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU:http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/