NO RAIN, NO RAINBOW 6月は雨の季節ですね。昨年の雨の季節には、ハワイ島とマウイ島の天気について考察(?)してみましたが、今年はカウアイ島の天気について考えてみました。昨年に続き、個人の経験に寄るところが多くを占めますが、ご容赦くださいませ。

「カウアイ島は雨が多い」と思われている方も多いでしょう。カウアイ島のほぼ中心にあるワイアレアレ山の年間降水量が、年間1万ミリを超えることが「雨が多い」と言われるゆえんになっていることは間違いありません。日本の年間降水量が、だいたい1700ミリくらいなので、ワイアレアレ山に降る雨が突出して多いことが分かります。ワイアレアレの意味は「溢れる水」、世界で2番目に降水量の多い場所だそうです。
とはいえ、ワイアレアレ山に降るような雨が、カウアイ島の他の場所にも降っているわけではありません。ハワイの主要な島々の中で、最も北に位置するカウアイ島は、冬に雨をもたらす寒冷前線の影響を受けやすい、と言うことはあります。でもそれは、ハワイの中では比較的雨が多い、と言うことで日本に比べたら、ざっくり半分くらいの年間降水量なのです。
「雨が多いからカウアイ島には行かない」と思われていた方は「それほどでもないのかなあ」と考え直されるのではないでしょうか。

晴れ間からワイアレアレ山

晴れ間からワイアレアレ山

さて、ハワイの島々は西が晴れて東が雨降りという法則(?)があります。ハワイ島とマウイ島の天気についてでもお話ししましたが、ハワイの天気は北東から吹く貿易風の影響を受けることが多いためです。カウアイ島も同様に、北東側が湿潤、南西側が乾燥という感じがします。
特にドライな感じがするのが、島の南西にあるワイメアやハナペペです。この2つの町を思い浮かべると、晴れ渡る空と「暑かった」という記憶が強烈に残っています。あまりの暑さに冷たい食べ物が欲しくなるのが、2つの町の共通点。ワイメアにはシェイブアイスの、ハナペペにはアイスクリームの名店があるのも納得ですね。
ワイメアから更に西へ西へと向かった先にあるポリハレも、だいたいいつも晴れているビーチです。カウアイ島の最果てにあるポリハレ・ビーチは、抜けるような青空とエメラルド・グリーンの海が広がっています。でも真っ白な広い広い砂浜は、容赦ない太陽に照らされ、裸足で歩くには(ビーチサンダルでも!)暑すぎるので注意してください。

晴れ渡るポリハレ・ビーチ

晴れ渡るポリハレ・ビーチ

ワイメアから登るコケエの山々は、トレッキングルートがいくつもあるハイカーに人気のスポットです。晴れているワイメアから車でコケエへと登っていくと、次第に曇ってくることがあります。ワイメア・キャニオンを見渡す展望台の辺りは晴れていたのに、絶景で名高いプウオキラ展望台は雲の中で、全く景色が見えない、と言うことも珍しくありません。
コケエを登るほどに、ワイアレアレ山に降る雨の影響を感じますが、最も強く影響を感じるのがアラカイ湿原です。標高の高いアラカイ湿原は、雲の中に入っていることが多く、トレイルで霧雨が降っていることもよくあります。麓に近いトレイルは、ワイメアが晴天ならば雨に降られることはまずないのですが、アラカイ湿原のような高所をハイキングする時は、念のため雨具の用意をしたほうが良いでしょう。

雲の中で絶景は見えない展望台

雲の中で絶景は見えない展望台

サニー・ポイプとも呼ばれるポイプは、晴れていることが多い、島を代表するリゾート地域です。カウアイ島の南岸にあるポイプは、海沿いに大型のホテルやコンドミニアムが並び、多くの観光客が集まっています。ハワイの雨季にあたる冬でも、ポイプは比較的晴れているので、お天気を気にする方はポイプに宿泊する事をお勧めします。
でも、カウアイ島は小さい島なので、他の地域からお天気がよいであろうポイプに遊びに行く事は、結構簡単です。小さい島ならではの良さですね。

サニー・ポイプ

サニー・ポイプ

カウアイ島は島の北側にリゾート地域がある、ハワイでは珍しい島です。オアフ島、マウイ島、ハワイ島を見ても、リゾート地域があるのは島の南から西の天気が良い地域です。カウアイ島の北側にあるプリンスヴィルは、ポイプと並ぶリゾート地域ですが、天気に関してはそれほど良いとは言えません。
それでもハナレイをはじめ、カウアイ島のノースショアが人気なのは、カウアイ島の天気がもたらす独特な雰囲気があるからかもしれません。ハナレイやプリンスヴィルは、カウアイの中でも緑が濃く、涼しげで優しい感じがします。ハワイの雨は「シャワー」と呼ばれるにわか雨が多いので、虹を多く見ることができるのも、カウアイ島のノースショアならではです。

雨上がりのハナレイ・ピア

雨上がりのハナレイ・ピア

ところが、大嵐の時は「ノースショアの雨は風情があっていいねえ」などと呑気な事は言っていられません。近年、ハワイのあちらこちらで嵐による洪水被害がありますが、カウアイ島では主にノースショアの被害が深刻です。
カウアイ島の北の端、ケエ・ビーチを始点としたカララウ・トレイルは大変人気のあるトレイルですが、大雨による川の増水でハイカーが取り残された、というニュースは毎年のように聞きます。また、ノース・ショアにかかる橋が大雨で壊れて、地域が孤立してしまった、ということもありました。
このような洪水は、主に雨季の冬に起きていましたが、この冬は雨が少なく、春になって雨が多かったそうです。気候変動によってハワイの天気も変わってきているのかもしれません。

どしゃぶりのコケエ。山の天気は変わりやすいので注意

どしゃぶりのコケエ。山の天気は変わりやすいので注意

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筆者プロフィール

NOPU
NOPU
ハワイは20年来、ネイバーアイランドへのリピーター。バードウオッチと植物観察が好きで、ハワイでもトレッキングをしながら探鳥を楽しんでいる。ローカル・レストランと古い建物の探求、地元のイベントに参加することも好き。
ALOHA NOPU:http://www.alohanopu.sakura.ne.jp/