先日、ウォーレンくん(ダンナさんです)のファミリーを訪ねて、シアトルに行って来た。
雨が多いことで知られる場所に加えて、3月のシアトルはまだ雨の多い時期。
ウォーレンくんのお姉さんから「レインブーツを持って来たほうがいいわよ」と言われていたにも関わらず、滞在期間中は、ピーカンのお天気に恵まれた。
ところが、帰ってからのカウアイは連日の雨。シアトルから帰って三週間ほどになるが、青空が広がった日はほとんどない。
数日前の土曜日に、友だちの娘カヒレイの1歳のバースデー・パーティがあった。
友だちと2人で、10日間ほどかけてパーティの準備に励んだ。「カーニバルをやるから!」と友だちのデンビ。デンビは私のクム・フラ(フラの師匠)の娘でもある。私たちは、フラ・シスター(同じクムからフラを習っている仲間)でもあるのだけれど、現在、彼女はフラはお休み中。なので今は、フラの時間以外のところで、一緒にコーヒータイムを過ごし、ショッピングに行くお友だちだ。
ハワイはご存知の通り、大家族という場合が多い。バースデー・パーティとなると多くの人が集まる。パーティにもいろいろなスタイルがあるようで、”プリンセス・パーティ”などもあり、パーティのスタイル、テーマによって、飾りつけも変わってくる。
カーニバル・スタイルの場合、テーマ色は青、赤、黄色。会場の装飾から、ケーキなどの装飾、食器までこの色合いで統一する。そして、今回は「パーティを訪れるたくさんの子供たちに楽しんでもらいたい」という彼女の意向で、何種類ものゲームを用意した。ゲームから装飾、手渡すカードまで全部ハンドメイドの手作りパーティである。
ゲーム用に用意した木に絵を描いたり、カードを作ったり、お料理のメニューを考えたり。そして時々、子守り。その合間に自分のツアーの仕事などをしたりと、バタバタしながらも楽しい時間が過ぎて行った。
ウォーレンくんや、また別のフラシスターのダンナさん、親戚の男性陣は仕事帰りに来て、大工仕事、力仕事のお手伝いである。
準備は彼女の家で行われたのだけれど、こちらも例に漏れずハワイの大家族。大勢のファミリーメンバーが出入りを繰り返し、作業をしている周りでは小さな子供が走り回っている。ひとりのベイビーが泣き出すと、つられて別のベイビーが泣き出す。そばにいる大人が二人のベイビーをすくい上げて抱き、両手に抱えながらミルクを飲ませている。
誰の子供とかはほぼ関係ない。姉妹でも、姪っ子でも、私のように知り合いのアンティでも、手の空いている者が面倒を見る。少し大きな子供たちも同様である。10歳前後になったら、自分より小さな子供の面倒を見る。
ちなみにカヒレイには10歳になるお兄ちゃんがいるが、子供のいない私よりも子守りの手際はずっといい。(苦笑)そしてカヒレイには15歳になるお兄ちゃんもいる。カヒレイのお兄ちゃんたちは、私には、デンビのお腹にいる頃から知っているボーイズたちだけれど、私のことを「アンティ」と呼ぶようになったのはつい最近のことだ。
ハワイでは年上の女性は敬いと親愛を込めて「アンティ●●」と、名前の前にアンティをつけて呼ぶのが通常だ。ところがこのボーイズ2人にとって私はアンティではなく、彼らと同じ子ども扱いだ。長い間、私のことを「Minori」と呼び、その度に母親やおばあちゃんから「アンティとつけなさいっ!」と叱られていた。
ようやく最近になって、少なくとも母親とおばあちゃんの前では「アンティ・ミノリ」と呼ぶようになった。なぜアンティと呼ばないのか、その理由はよくわからないけれど、大人としての、アンティとしての貫禄や落ち着きが私にはないせいではないかなと推測している。
大家族というのは、ある意味、凄まじいほどに勢いがある。そしてそこには1mm の静けさもない。人数が多いゆえに、自然、みんな声を張って話す。常に音楽が流れている。子供たちが声をあげて走り回っている。その中にポンっと身を置くと、ひゃ~!となるほどにエネルギッシュである。私にはこういうスーパー賑やかな日々が毎日続くのは想像できないな~と思う一方で、健全なイメージも受ける。
15歳の息子があまり協力的ではない態度を取っていると(15歳というのは、少しカッコつけたり、白けたフリをしてみたい年齢ゾーンなのだろう。笑)、「Hey son ! 自分の妹のために友だちや家族以外の人がこうしてヘルプしてくれているのよ。そんな時に非協力的な態度を取るなんて許されないのよ。恥を知りなさい!」と母親が叱る。こわいほどに思いきり叱られている。こうやって、彼らは、”この家族の中での” 道徳を身につけていくのだろう。
ちなみにハワイのコミュニティでは、それが他人の子であっても、間違った態度を取っているな、危ない事をしているなと言う場合は叱ると言う場面が多い。そうした時に子供たちの母親から返ってくるのは、感謝の言葉だ。日本の友人から「よその子を叱るなんてとんでもない」と言うことを時々聞くので、その辺りは環境が随分と違うのだろう。
コミュニティ全体で子供を育てると言う傾向がハワイにはまだ存在しているように思う。
パーティ前日、夜10時くらいにゲームのセッティングが出来上がった。 「ちょっと、試してみよう」と言うことになって、息子たちとゲームを試し始めたら、なんと夢中になってしまった。中でも、Balloon Shooting ”風船割り”ゲーム。ズラリと壁に並べた風船を先の尖ったスペアを投げて割っていくのだ。
10歳のお兄ちゃんメハがポンポンっと風船を割っていく隣で、私は四苦八苦。それでも要領がわかっていくにつれ、風船が割れていくのがおもしろい。調子に乗ってどんどん風船を割っていると、「ちょっと!そんなに割ったら、また膨らませないといけないじゃないっ!それ以上割るなっ!」とデンビに2人で叱られた。「うわ、ごめんなさいっ!」とメハと私。こういうところにも、私が “ アンティ “ と呼ばれない原因があるのかもしれない。(反省)
風船で作った大きなアーチも出来上がって、パーティ当日。
「あと何分!」と言い合いながら料理を仕上げて、それらをテーブルに飾る。なんとか無事に開始時間ギリギリでセッティングが終わった。
朝10時30分から、身内だけで、Pule (プレ、ハワイ語でお祈りの意味)。
ハワイで何かをする時、ハワイアンたちは必ずお祈りの時間を持つ。みんなで輪になって手をつなぎ、お祈りの言葉、感謝の言葉、時にはチャンティング(詠唱)がそこに入る。
バタバタと賑やかな時間の合間のシンと静かで呼吸を深くする時間だ。みんなでその日を無事に迎えられたこと、その日のみんなの無事を祈り、感謝を捧げる。子供たちもこのときばかりは、頭を垂れて目を閉じ、じっとお祈りをする。
11時にスタートしたパーティは終了時間の午後3時まで、賑やかに続いた。
子供たちだけではなく、大人たちもキャーキャー言いながら、ゲームを楽しんでいる。その脇でクプナ(年配の大人)たちは、椅子に座ってお話に夢中。ハワイの日常的な風景だ。
パーティは、バースデーを迎える子供が「ザ・主人公」ではなく、バースデーを無事に迎えられたことへの感謝を込めて、来てくれた人に思う存分、楽しんでもらうセッティングがされる。その子の人生に関わってくれている人々への感謝が随所に見られる。調和を重視するハワイの風習がここにも見られるように思う。いろいろな意味で健全で謙虚な、ハワイのこうしたスタイルが私はとても好きである。
嬌声を上げながら走り回る子供たちを見ながら、次世代の子どもたちの人生が平和に満ちていますようにと心から願うのであった。
筆者プロフィール
最新の記事
- カウアイ日記2021年11月18日アロハの精神性のシェア
- カウアイ日記2021年6月17日ココナッツ・ワイヤレス
- カウアイ日記2021年3月18日カウアイ島は人でいっぱい!?
- カウアイ日記2021年2月18日笑顔のチカラ