ハワイの思い出を話そう！・その３

まだまだ暑い日もありますが、虫の音に秋を感じますね。と言うわけで、行く夏を惜しんで、かつてハワイにあったものを懐かしむシリーズ第三弾です。今回は、ネイバーアイランドにあったカフェを思い出してみました。ご紹介するカフェをご存じの方は、懐かしい気持ちで、ご存じでない方は「あー、行ってみたかった」と、是非ご一緒に惜しんでください。

JAVA KAI（HANALEI COFFEE ROASTER）

ジャバ・カイは、カウアイ島にあるカフェです。現在もカパア店が営業していますが、かつてはカウアイ島のリフェやハナレイにも店舗がありました。なかでも、ハナレイ・コーヒー・ロースターという名前でも営業していたハナレイ店は、ハナレイの雰囲気にぴったりのカフェでした。オシャレな現在のカパア店は、観光客にも大人気のようです。でも、やっぱりハナレイ店が、懐かしいなあ。早朝、マイボトルを持って、ハナレイ店に行くと、既に何人もの人がマイカップと新聞を持って、カウンターに並んでいたものです。朝、コーヒーを買いにくるのは、だいたい地元の人たちのようでした。ハナレイ在住のピアース・ブロスナンが、毎朝コーヒーを買いに来る、というウワサも聞いたことがあります。

ハナレイのジャバ・カイでコーヒーを買って、カウアイ島のノース・ショアの終点、ケエ・ビーチを目指すのが、我が家のカウアイ・ルーティーンでした。ケエ・ビーチを目指さない時は、ジャバ・カイで朝ごはんを食べるのも、ハナレイの朝の楽しみ。ビーチの帰りに冷たい飲み物を買ったり、おやつにホイップクリームたっぷりのアップル・パイを食べたり、カウアイ島滞在中ジャバ・カイには何度も行ったものです。スムージーを買ったら「これはエクストラ」と、オーダー分以外にカップ半分くらいのエクストラ（余分）をもらった事も何度もあります。そうでなくても、ハナレイ店のスムージーやフローズン・ドリンクは盛りが良く、カップの縁を超えてカップ・カバーまで注いでくれました。宝くじが当たったらハナレイに住んで、毎朝ジャバ・カイに自転車でコーヒーを買いに行くのが、私の夢だったんだけどなあ。

ANTHONY’S COFFEE CO.

マウイ島のパイアは、オシャレなセレクトショップやレストランが並ぶ、観光客にも人気のスポットです。でも、ひと昔前までは、ヒッピーとサーファーが集まるのんびりした町でした。アンソニーズ・コーヒー・カンパニー（以下、アンソニーズ）は、パイアのハナ・ハイウェイに面したカフェ。早朝からオープンしているので、ハナへロング・ドライブをする時に、朝ごはんを食べたり、テイク・アウトのランチを調達するのにも便利でした。サーファーのお客さんも多いアンソニーズは、モデルやスタントマンとしても知られる、プロ・サーファーのレイアード・ハミルトンの行きつけの店だったそうです。地元のお客さんも、観光客も、気軽に一息つけるカフェでした。

ところで、ハワイでサンドイッチを作ってもらう時、選択肢がたくさんあって困ったことはありませんか。パンの種類、具の種類、マヨネーズはいるのか、ピクルスはどうするのか・・・。アンソニーズでサンドイッチを注文した時、カウンターの女性が「サンドイッチね、どうする？」と、ラミネート加工されたオーダー表を示しながら、丁寧に注文を聞いてくれました。まだハワイのサンドイッチ初心者であった私は、アンソニーズでサンドイッチをオーダーするシステムを覚えた、と言っても過言ではありません。

BEARS’ COFFEE

ハワイ島ヒロにあるベアーズ・コーヒーが閉店した、と知ったのは、つい最近のことです。ベアーズ・コーヒーは、ハワイ島のガイドブックには、必ずと言っていいほど紹介されている、有名なカフェです。８年ほど前にもオーナーが変わった事があるので、もしかしたら今後、再開するのかも、とも思いますが、ダウンタウンの顔の一つだったベアーズ・コーヒーがなくなってしまうのは、寂しいことです。実は、私がよくベアーズ・コーヒーへ行っていたのは、少し前、まだ前オーナーの頃でした。と言うわけで、閉店のウワサを聞くベアーズ・コーヒーの、ちょっと昔の思い出です。

シアトル系のコーヒーが一般的になる前は、ハワイでコーヒーを飲むと、かなり薄い、と感じました。コーヒー色をしたお湯、のようなコーヒーに「ううむ、これが『アメリカン』というやつか」と、思ったものです。そんなハワイで、濃くておいしいカプチーノが飲めたのが、ベアーズ・コーヒーでした。ガイドブックなどを見ると、ホイップクリームたっぷりのワッフルが紹介されているベアーズ・コーヒーですが、私にとっては「ヒロで一番おいしいコーヒーが飲めるカフェ」だったのです。お店で「アイス・コーヒーってある？」とお客さんが、注文しているのを聞いて『え、なんだって？！』と、思わず振り返ったこともあります。以前は、アイス・コーヒーも一般的ではなかったのです。常々、ハワイでアイス・コーヒーを飲みたいー、と思っていた私には、衝撃的な出来事でした。お店の人が「あるよ」と、冷蔵庫からアイス・コーヒーが入ったピッチャーを出すのを、ヨコメでチラチラ見てしまいました。お客さんは「すごくおいしいね」と、当時ではかなり珍しいアイス・コーヒーを召し上がっていました。

ベアーズ・コーヒーでの思い出は、地元のお客さんたちの思い出でもあります。東向きのベアーズ・コーヒーで、いつもオーニング・シェードを出しているのは、朝一番に来る常連のお客さん。前回来た時にお店で見かけた人が、今回も同じ席でやっぱり新聞を読んでいたり、歩道のテーブルは、いつも必ずおじいさんが座っていたり、ベアーズ・コーヒーに行くことは、ヒロの日常を垣間見ることでもありました。今回ご紹介した３つのカフェは、私のような観光客でも、ハワイに暮らしているかのように感じることができた場所だったように思います。