ホノルルという名を聞くとビーチと高層ビルをイメージする人が少なくないでしょうが、町の周辺には古くからこの地に根づいていた花々を楽しめる庭園がそこかしこにあります。今回は、ワイキキのすぐ近くにあるクイーン・カピオラニ・ガーデンを紹介します。クイーン・カピオラニ・ガーデンはクイーン・カピオラニ・パークに隣接しています。

ガーデンの看板(園内2箇所に表示があります)

ガーデンの看板

ホノルル市(郡)はハワイの自然と文化にゆかりの深い植物展示に力を入れています。クイーン・カピオラニ・ガーデンもその一環としてオヒアレフアやコキオケオケオなど、ハワイに固有の植物を多く展示しています。

ガーデンの特徴

公園は3つのグループに分かれています。ハワイ固有の植物、先住ハワイ人が持ち込んだ伝統植物、そしてハワイにゆかりの深い外来植物です。

固有植物は、赤や黄色の花をつけるオヒアレフアや、ハワイ州の花であるマオ・ハウ・ヘレといったハワイの代表的な花の他にも、野生化では山奥でしか見られないポーカラカラ、ウーレイやカウイラなどの稀少植物も植えられています。また、ハワイ唯一の固有種であるロウルというヤシの木もあります。

ポーカラカラ、わずかな株しか残っていない絶滅危惧種

ポーカラカラ

伝統植物とは、先住のハワイ人が故郷の島から移住する際に、生きていくのに必要となる重要な植物を厳選し、カヌーで運びこんだ植物を指します。外から持ち込んだものなので外来種ですが、ハワイ州ではハワイの伝統文化に欠かすことのできない植物として、他の外来植物とは区別しています。園内では主食となったカロ(タロイモ)やアペ(インドクワズイモ)など、いくつかの伝統植物が見られます。

黄色の花をつけるオヒア・レフア、オヒア・レフア・マモとも呼ばれる

黄色の花をつけるオヒア・レフア

外来植物については、観光地などでよく見られるものが見られます。ハワイアン・ハイビスカスやプルメリア、ブーゲンビレアなどの他、果実ではマンゴーやパパイアなどもあります。

オハイ・ウラ、一般的には赤い花をつける

オハイ・ウラ

ガーデンの歴史

かつてクイーン・カピオラニ・ガーデンは、隣接するクイーン・カピオラニ・パークとともに、カラーカウア王の地所でした。1877年、王家はこれらの土地を公共に利用してもらうために寄贈しました。その際、カラーカウアはカピオラニ王妃に敬意を表してこの名を付けたのです。クイーン・カピオラニ・ガーデンはパークの敷地の一画を使い、ホノルル市民の憩いの場として1972年に開設されました。当初、この庭園はローズ・ガーデン(あるいはハイビスカス&ローズ・ガーデン)と呼ばれました。カピオラニ王妃がハイビスカスやバラを愛したことによるものです。園内にはマウイ島のシンボル・フラワーでもあるロケラニのほか、ハワイアン・ハイビスカスなど、ホノルル市内によく見られる植物を中心に展示されていました。

コキオ・ケオケオ、イマクルトゥスと呼ばれるモロカイ原産種で花柱が白い

コキオ・ケオケオ

ハワイアン・ハイビスカスは中国原産のブッソウゲとハワイ在来のコキオというハイビスカスを掛け合わせて作られた園芸品種です。園芸の歴史は古く、カメハメハ1世の時代から品種改良が行われてきました。当時のハワイ王国には主立った輸出産物が少なかったため、花を産業のひとつとして確立させようとした王国の方策でもありました。園内にはさまざまな品種のハワイアン・ハイビスカスが大輪を咲かせています。

オオカバマダラと ルリハナガサモドキ、いずれも外来種

オオカバマダラと ルリハナガサモドキ

ロケーション

モンサラット・アベニューとパキ・アベニューの交わる角にあり、ホノルル動物園の隣に位置します。東(ダイヤモンドヘッド側)からは、シャワーツリーのツリートンネルを抜けた正面に位置します。ホノルル市(郡)の公園緑地管理局によって管理されており、入場および駐車は無料です。3672~3698 Paki Ave. Honolulu HI 96815 US

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筆者プロフィール

近藤純夫
カワラ版のネイチャー・ガイド。本業はエッセイスト兼翻訳家だが、いまはハワイの魅力を支えている自然をもっと知ってもらうことに力を注ぐ。趣味は穴潜りと読書。ハワイ滞在中も時間をやりくりして書店通いをしている。