5月恒例のハワイ・キルト・ギルド主催のキルト展開催!
過去の私のキルトパラダイスをさかのぼってみると、3回ほどこのハワイ・キルト・ギルド主催のキルト展について書いていました。最後が2011年の記事でしたので、あれからすでに6年も経っています。年月が過ぎるのが早いですね。この3年はハワイ島に住んでいたので、なかなか行く機会ありませんでしたが、今回は久しぶりに行くことにしました。
ホノルルにある「ハワイ・キルト・ギルド」は私がハワイ島のワイメアで所属しているようなキルト会ですが、1984年から始まり、多くのキルターが属しています。メアリーシーザーさんもいらっしゃいますが、今日のキルト展には出展されてなかったようです。昨年ホノルルフェスティバルでお会いしたパトリシア・マーレイさんも長くメンバーでいらっしゃいます。今年もハワイアンキルトを出展されていて嬉しくなりました。
毎年キルト展のテーマが変わりますが、今年は「Aloha is..」です。ハワイでキルトは「アロハのギフト」「愛のギフト」とも呼ばれ、すべてのキルトは愛を込めて作られるという意味があります。ハワイに限らずですが、キルトの作成には時間を要し、その間作り手の気持ち(マナ)がたくさん込められるからです。そしてキルターは初心者からマスターキルターまでたくさんの段階がありますが、それには関係なく、すべてのキルターは愛(アロハ)を持ってキルトを作っているということより、このテーマが決められたということです。
確かにその通り。キルトを始められたばかりの人は、上手じゃないからと謙遜をする方がたくさんいらっしゃいます。いいのです。最初は上手じゃないのです。マスターキルターも最初は下手だったのです。
ですが、卑下しないで下さい。自画自賛しているうちに、人間は呪文にかかるのです。これ本当(笑)。私はスピリチュアルな占い師ではないですが、自分が目標に向かって一所懸命努力すれば、必ず結果は付いて来ます。知らないうちに本当にキルトが上手になるのです。ですから私はいつも言っていますが、自分を信じて、たくさんキルトを作ってください。必ず上手になります。
ハワイ・キルト・ギルドによるキルト展はホノルル美術館のアートスクールで開催されます

ハワイ・キルト・ギルドによるキルト展はホノルル美術館のアートスクールで開催されます

キルト展の入り口にはこのグループのシグネチャーキルトが飾られています

キルト展の入り口にはこのグループのシグネチャーキルトが飾られています

今年の会場はいつもより小さく、ライトがなく、ちょっと暗かったのが残念でした。アートスクールのビルが改装中のようで、入り口も裏口からとなっていて、ちょっとわかりにくかったのが残念でした。
今年の注目のキルターはメレディ・ガーウィッグさんです。毎年注目のキルターの作品がたくさん飾られます。ハワイアンキルトはベビーキルトサイズが1枚作られていました。
私が一番好きだったキルトは、もちろんパトリシア・マーレイさんのベッドサイズのハワイアンキルトです。
下地がクリーム、アップリケがフレンチブルーの「カマカニカイリアロハ」というキルトは、実はパトリシアさんのキルトではなく、ウッドワード一家のキルトです。メリー・フランシス・ウッドワードさんが80年代に息子であるマークさんの為にアップリケだけしていました。そのアップリケトップをパトリシアさんにキルティングしてほしいと依頼したのです。その時はデザインの名前がわかりませんでした。後ほどパトリシアさんがリサーチした結果「カマカニカイリアロハ」とうデザインだったことが発覚。このハワイ語は「風が私の愛する人を連れて帰って来てくれた」という素敵な意味がありました。キルティングすることがとても光栄であり、ウッドワード一家の為に心を込めてキルティングされたそうです。ちょっと変わっていたのは、キルティングにキルト糸ではなく、刺繍糸の1本どりのような、少し太い糸が使われていたということです。落としキルト、飾りキルト、そしてエコーイングキルトもすべてフレンチブルーの太めの糸で縫われていました。これも素敵な方法だと思って、しばし見とれてしまいました。可愛いパイナップルのキルトのクッションも展示されていました。
パトリシア・マーレイさんがキルトされた「カマカニカイリアロハ」Quilted by Patricia Murray, Pattern is Kamakanikailialoha

パトリシア・マーレイさんがキルトされた「カマカニカイリアロハ」Quilted by Patricia Murray, Pattern is Kamakanikailialoha

キルト糸がデザインと同じフレンチブルーの太めの糸が使われています

キルト糸がデザインと同じフレンチブルーの太めの糸が使われています

パイナップルパッチのクッション

パイナップルパッチのクッション

もう一枚は私が3年間所属していたハワイ島の「カ・フイ・カパ・アパナ・オ・ワイメア」のキルト会のメンバーでもあるリック・スタークさんの作品です。こちらは2015年のワイメアのキルト展の時にも見たことがあった素敵なローズのキルトです。「へ・マラ・プア・ロケ・オ・カ・ワヒネ・モイ」というリックさんとアラン・ジェームズさんのデザインで、当時リックさんのイリノイ州に住んでいたお母様に作られました(1998年)。リリウオカラニ女王に捧げる意味もあるこのキルトは、今のリックさんのキルト人生に大きな影響を与えることになった1枚だそうです。プカ(切り抜き)の部分が多く、下地とアップリケ地がわからなくなるくらいの錯覚を起こします。リバースキルトのようですね。
リック・スタークさんの「へ・マラ・プア・ロケ・オ・カ・ワヒネ・モイ」Quilted by Ric Stark, Designed by Ric Stark and Allan James

リック・スタークさんの「へ・マラ・プア・ロケ・オ・カ・ワヒネ・モイ」Quilted by Ric Stark, Designed by Ric Stark and Allan James

ローズの部分のプカが際立っています

ローズの部分のプカが際立っています

ハワイアンキルト風である素敵なキルトを発見しました。こちらはマリリン・スミスさんの「アキナ・ウル」というベビーキルト(ブランケット)です。アキナファブリックを使って挑戦されたそうで、生地にマッチするように下の部分はスプレーペイントされたと書いてありました。どこをスプレーペイントされたのか? 不明ですが、かなり斬新なコンテンポラリーのハワイアンキルト風キルトでした。落としキルトの部分はリバースの糸が使われ 、この糸が少し太めの刺繍糸の様でした。ウル(パンノキ)の見の部分には無数のフレンチナッツ、ボタンが使われていました。エコーイングキルトがないので、ハワイアンキルト風と言わせていただいています。色々なコンテンポラリーキルトがあるのですね。

マリリン・スミスさんの「アキナ・ウル」はベビーキルトの大きさです。 Quilted by Marilyn Smith

マリリン・スミスさんの「アキナ・ウル」はベビーキルトの大きさです。 Quilted by Marilyn Smith

斬新な手法が入っていました

斬新な手法が入っていました

刺し子を入れたパッチワークキルト、ミシンキルト、日本の着物の生地などを使ったパッチワークキルト、フラワーアレンジの大きなキルトなど、色々なキルトを楽しませていただきました。
ハワイ島でパッチワークキルト、ミシンキルトなどを学ばせていただいたので、パッチワークキルトの見方が少し変わりました。
ただ、やっぱりハワイアンキルトに目が行ってしまいますね。
好きなキルトに投票することも出来ました。
パトリシア・マーレイさんが優勝してくださるといいのですが。。。
来年もこのキルト展はやられると思いますので、5月にホノルルにいらっしゃった方は是非一度足を運んでください!
大きなトロピカル・フラワーアレンジのキルト

大きなトロピカル・フラワーアレンジメントのキルト

刺し子が入ったパッチワークキルト

刺し子が入ったパッチワークキルト

会場の様子

会場の様子

By アン
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筆者プロフィール

藤原小百合アン
藤原小百合アン
アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2010年スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)にてキルト展を開催。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。2012年7月、電子本「キルトストーリー」を発売。2012年9月、スパリゾートハワイアンズへ、フラガール・フレンドシップキルトを寄贈。2013年11月より、イオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを開始。2021年7月には誠文堂新光社より「ハワイアンキルト パターンとステッチの魅力」の増補改訂版を発売。ハワイ、日本での展示会やレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。ハワイ在住34年目。