ハワイにはさまざまな鳥がいます。都会で見かける鳥から山奥に潜む鳥までその種類は100種を超えます。

都会・郊外の鳥(カラス・スズメ・ハト)

1)アララー(ハワイガラス)

アララーは里山に生息し、コアの木などの高い場所に巣を作ります。全長は45cm前後で、頭部はハシブトガラスより小さいため、クチバシが大きく見えます。羽毛は遠目に黒く見えますが。実際は濃い茶色です。また翼の先は色が明るくなります。雑食ですが果実を好みます。1990にハワイ島西岸に生息していた野生のアララーの個体数が10羽を切ったため、93年に7羽のヒナを人工保育に切り替えました。その後、ネーネーと同じく、野生化のアララーは絶滅しました。一方、飼育下のアララーは孵化に成功して数を増やし、一部を野生に戻したものの、ほとんどが死亡したため、いまだ飼育下にあります。将来に再度放鳥する計画です。

ハワイの鳥の名には比較的多いのですが、ネーネー(ハワイガン)やアー(アカアシカツオドリ)のように、アララーの名も、その鳴き声から付けられました。とは言え、実際にそのように聞こえることはあまりなく、さまざまな声色を使います。また、うるさいほど鳴くので、He manu leo nui(よく鳴く鳥)の別称もあります。
アララの鳴き声(米国野生生物局) ©fws

分類:スズメ目カラス科カラス属
学名:Corvus hawaiiensis
ハワイ名:ʻalalā
英名:Hawaiian crow
和名:ハワイガラス
原産地:ハワイ固有種、絶滅危惧種

アララー(写真はUSFWS・米国野生生物局より)

アララー(写真はUSFWS・米国野生生物局より)

2)イエスズメ

全長は15cm前後で、翼長は7.5cm前後です。写真のようにオスとメスで雌雄で体色が異なります。オスは日本のスズメに似ますが灰色の部分があります。メスや幼鳥は淡褐色です。鳴き声はスズメに似ています。北海道のスズメの一部は、スズメとイエスズメの交雑種とされます。ハワイでは諸島各地の観光地や人家などで普通に見られます。

分類:スズメ目スズメ科スズメ属
学名:Passer domesticus
ハワイ名:manu liʻiliʻi, kepola
英名:House sparrow
和名:イエスズメ
原産地:アフリカ

イエスズメ(オス)

イエスズメ(オス)

イエスズメ(メス)

イエスズメ(メス)

3)チョウショウバト

全長は21cm前後、翼長は25cm前後です。カワラバト(ドバト)より2回りほど小さく、カワラバトとスズメの中間くらいのサイズです。草や雑草の種子を主食としますが、昆虫やカエルなども食べます。単独か番(つがい)で行動するとされますが、ハワイでは群れをなすことが多いようです。スズメと同じく観光地や人家に飛来しますが、里山や山麓にも生息します。諸島各地に分布し早朝によく鳴きます。ハワイではチョウショウバトの鳴き声で目を覚ますことが多いのではないでしょうか。首から胸にかけて白黒の縞模様となっていて、英名のゼブラの由来となっています。

分類:ハト目ハト科チョウショウバト属
学名:Geopelia striata
ハワイ名:なし
英名:Zebra dove
和名:チョウショウバト
原産地:西アジア

チョウショウバト

チョウショウバト

4)カワラバト、ドバト

全長は32cm前後、翼長は22cm前後です。ハトの仲間のなかでは大型です。体毛は純白、グレー、青みがかった色を基本に斑点や縞などが入り、見た目はさまざまです。種子うや穀物、果実などを主食としますが、虫を食べることもあります。ワイキキなどハワイ各地の都会や郊外で見られます。野生のもはカワラバト、飼い慣らされたものはドバトと言いますが、ドバトは再野生化したものもあり、区別は難しいです。

分類:ハト目ハト科カワラバト属
学名:Columba Livia
ハワイ名:manu kū
英名:Rock Pigeon
和名:カワラバト、ドバト
原産地:西欧、アジア、アフリカ

カワラバト

カワラバト

5)カノコバト

全長は30cm前後です。世界に広く分布します。ハワイでもかつてはポピュラーなハトでしたが、現在は比較的生息数を減らしています。都市郊外や里山に生息し、種子などを食べます。全身が淡い灰色ですが、首回りが黒い帯状で白い斑点があることが和名や英名の由来です。ただし幼鳥には斑点がありません。チョウショウバトやカワラバトと異なり、樹上にいることが多く、卵も樹上で産み育てます。

分類:ハト目ハト科キジバト属
学名:Streptopelia chinensis
ハワイ名:manu kū, ekaho
英名:Spotted dove, Chinese Dove
和名:カノコバト
原産地:アジア南部

カノコバト

カノコバト

6)ナゲキバト

全長は26cm前後ですが、その半分は尾が占めます。体毛は灰褐色で、翼に大きな黒い斑点が散りばめられています。名前の由来は、悲しげな鳴き声に由来します。カノコバトと同じく、主食は草の種などで、樹上に巣を作りますが、地上にいることが多いです。飛び去るときに口笛を吹くような音を出します。ハワイでは山麓に見られますが、個体数はそれほど多くありません。

分類:ハト目ハト科ハジロバト
学名:Zenaida macroura
ハワイ名:なし
英名:Mourning Dove
和名:ナゲキバト
原産地:南北アメリカ

ナゲキバト

ナゲキバト

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筆者プロフィール

近藤純夫
カワラ版のネイチャー・ガイド。本業はエッセイスト兼翻訳家だが、いまはハワイの魅力を支えている自然をもっと知ってもらうことに力を注ぐ。趣味は穴潜りと読書。ハワイ滞在中も時間をやりくりして書店通いをしている。