山の成り立ち

ココ・クレーターは標高は368mの火山で、西側からは線路の跡を辿って山頂へ、東側からはクレーターの崩壊部分から直接内部へ車で乗り入れることができます。ココ・クレーターは、ハワイ語をコヘレペレペ(Kohelepelepe)あるいはプウ・マイ(Puʻu Mai)と言い、凝灰岩でできた火山です。ココ・ヘッド、ハナウマ湾と隣接し、ワイキキからはダイヤモンドヘッドの背後に広がるハワイカイの町に隣接します。

ココ・クレーター全景

ココ・クレーター全景

ココ・クレーターはホノルルの街から少し離れていますがホノルル火山群の一部であり、コオラウ火山が再噴火した際に出現したものです。ハナウマ湾やダイヤモンドヘッドもホノルル火山群に含まれます。この火山が最後に噴火したのはおよそ7000年前とされますが、もっと古い時期(約5万年前)であると説く学者もいます。

トレイル

第二次世界大戦中、アメリカ軍はココ・クレーターの頂にトーチカ(ピルボックス)を設営し、ここまで鉄道(Koko Crater Tramway)を引きました。しばらく米国空軍が管理していましたが1966年に管理をホノルル市に移譲しました。そして軌道跡がトレイルとなったのです。トレイルは山頂まで一直線に3km弱続き、階段の数は1050段(現在は1048段?)に及びます。途中に橋が落ちて線路だけとなった小さな谷を渡るなど、脚力と肝っ玉を試されるトレイルです。

トレイル(軌道跡)

トレイル(軌道跡)

トレッキング

登山はできるだけ歩幅を狭く、必要以上に脚を上げ下げしないことが楽に登るコツです。しかしココ・クレーター・トレイルは枕木づたいに登らなければなりません。頂上は登山口から見えますが、この段差のせいで想像以上に脚にきついです。ところが猛者はたくさんいて、登山中に2度見かけた女性に「すごいね、2度目なんだ」と声をかけると「今日は3本目。あと1本登るつもりよ」との答えが返ってきました。(笑)

ココ・クレーター・トレイルはよくココ・ヘッドと間違われますが、その理由は、ココ・ヘッドとココ・クレーター、ハナウマ湾を含む一帯が「ココ・ヘッド地区公園(Koko Head Regional Park)」と呼ばれるためです。山頂にたどり着くと分かりますが、このトレイルはココ・クレーターにあり、東側の眼下にはココ・クレーター植物園を見渡せます。

谷間を這って登る人

谷間を這って登る人

注意点

かつてあった軌道はかなり朽ちていますが、危険箇所はそのつど改修されています。とはいえ、本来トレイルとして造られたものではないので歩くときには用心が必要です。とくに谷間に架かった線路から落ちると重大な結果を招きます。自信が持てない人は迂回ルートを利用しましょう。また、枕木をコンクリートで補強した部分が上部にありますが、下りのときはとても滑りやすく、スリップする人を多く見かけます。しっかり足元を見て歩きましょう。トレイルには日差しを遮る場所がないので日中はかなりの暑さです。十分な水を携行すること、キャップをかぶること、履き慣れた靴を用意することなど、いくつか注意が必要です。また、できれば早朝に出かけることをお勧めします。

山頂からの風景

山頂からの風景

神話

ハワイ名のコヘレペレペとは、女性の陰部を表す言葉です。伝説によれば火の女神ペレが、豚の姿となるカマプアア(後にペレの夫となる)に襲われた際、ペレの妹のカポは、姉を助けるために自分の陰部をちぎって海に投げ入れてオアフ島を作り、そこに姉を呼び寄せたと言います。しかしカマプアアはペレを追ってココ・ヘッドまでやって来ました。ココ・クレーターの深い裂け目はそのときについたとされます。

アクセス

ワイキキからはザ・バス(22番)でハナウマ湾入口まで。バス停ではハナウマ湾の反対側に伸びる道を下ります。ココクレーターの麓まで進むと、山頂へと続く軌道跡が見えてきます。所要時間は健脚の人で20分前後、普段あまり歩かないという人は1時間近く見ておくと良いでしょう。

植物園入口付近

植物園入口付近

ココ・クレーター植物園

ヒョウタンのような形をしたクレーター内は植物園となっていて、一周すると3kmほどとなります。無人ゲートの脇に郵便ボックスのようなものがあるので、そこを開けて園内地図を1部もらっておくと便利です。(※日曜日や祭日にはスタッフがいることもあります。)

ココクレーター植物園は1958年に開発が決まり、クレーター内の3分の1ほどにあたる24ヘクタールの土地を利用して、乾燥した気候に適応した植物を中心に植栽展示しています。ただし、ここは半世紀を経てもなお造成中で、完成時期は未定です。大規模なハワイアンタイムの仕事だと思って気長に完成を待ちましょう。

園内はハワイ固有の植物やハワイの伝統植物、アフリカとマダガスカルの植物、サボテンや多肉植物、乾燥に強いヤシの木、ブーゲンビレアとキョウチクトウ、そして最大の売り物であるプルメリアのコーナーから成り立ちます。

黄色のプルメリア・ルブラ

黄色のプルメリア・ルブラ

ゲートを入ると最初に目に入るのは正面のキョウチクトウと、左手に広がるプルメリアのコーナーです。ハワイのプルメリアにはいくつかの種類がありますが、ここではプルメリア・ルブラと呼ばれる品種が多く、さまざまな色合いと形をした花が園内に広がります。

プルメリアの林に沿って北側へ進むとブーゲンビレアの植栽コーナーとなります。プルメリアと同じくさまざまな色合がありますが、花弁に見えるのは苞(ほう)と呼ばれる部分で、本当の花はその中心から伸びる小さな白い部分です。苞は水分をほとんど含まないことから、英名をペーパーフラワーと呼ばれ、1年を通じて美しい色合いを楽しめます。

ブーゲンビレア、紫色の苞(ほう)と白い花

ブーゲンビレア、紫色の苞(ほう)と白い花

園内の最奥部にあるハワイ固有の植物コーナーもお薦めです。とくに壮観なのはハワイ唯一の固有ヤシであるロウルの巨木です。ロウルは他の植物園でも見られますが、ここにひあ巨大な株があります。ロウルの近くにはウィリウィリがあります。変わった外観をしたこのマメ科の植物の実は昆虫や鳥の大好物です。ハワイの伝統社会ではレイなどのアクセサリーとして使われました。

早朝や夕暮れ時にはジョギングや散策に住民が訪れる憩いの場所にもなっていますが、意外に奥が深く分岐したルートもあるので、時間を多めにとって出かけることをお勧めします。帽子や多めの水を忘れないように。

園内の道

園内の道

 

場所

7491 Kokonani St. Honolulu, HI 96825 808-522-7066(ホノルル・オフィス)

アクセス

ワイキキを東へ進んでココ・ヘッドとココ・クレーターを通りすぎると、ほどなく左にケアラホウの道が現れ、ココ・クレーターの東山麓を回りこむようにしてクレーター内部に入ることができます。

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筆者プロフィール

近藤純夫
カワラ版のネイチャー・ガイド。本業はエッセイスト兼翻訳家だが、いまはハワイの魅力を支えている自然をもっと知ってもらうことに力を注ぐ。趣味は穴潜りと読書。ハワイ滞在中も時間をやりくりして書店通いをしている。